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不妊治療の助成金制度と男性向けの不妊治療について

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ライフプランの窓口での無料FP相談では、不妊治療の高額負担に耐えられず、
経済的にあと何回治療ができるかという相談があります。
ファイナンシャルプランナーという立場では、金銭的なアドバイスと、担当者の個人的経験に基づくアドバイスしか提供できない難しい分野です。


2015年度の国立社会保障・人口問題研究所の
出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)
によりますと、不妊の検査や治療を行っているのは
5.5組に1組の割合で行っており、年々増加
しています。

また、不妊治療の際、ネックになるのが高額な
治療費です。不妊治療費用は、病院や治療段階に
よっても異なりますが、保険適用にならない治療も
多く、望む治療が受けられないという可能性も
あります。

そこで、今回は、不妊治療の費用の目安や
治療に関する助成金を受けられる自治体や
男性の不妊治療等についてご紹介したいと
思います。

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<不妊治療とは?>

■不妊の定義とは?

日本産科婦人科学会によりますと、1年間自然妊娠
しなかった場合は「不妊」と定義されています。

通常の夫婦生活を行っていると、1年で80%、
2年で90%の夫婦が赤ちゃんを自然に授かると
言われています。

残りの10%が不妊症と考えられ、自然妊娠は
難しいとされています。

■不妊治療とは?

一般的な不妊治療は、主に3つの方法が
あります。

① タイミング法

一般的に不妊治療の最初の段階で用いられる
治療方法になります。
検査結果をもとに医師が排卵日を推測、
その前後に性行為をして、自然妊娠をめざす
方法です。
保険適用で費用は1回数千円程度です。

② 人工授精

人工授精は、子宮に精子を人工的に注入する
方法です。
主に、タイミング法からステップアップした方が
受ける治療法になります。

人工授精で妊娠される方の90%が人工授精の
6回目位までに妊娠する場合が多いので
4~6回目以降に体外受精や顕微授精の
次のステップに進む方が多いようです。
保険適用外で費用は1回1~2万円です。

③体外受精、顕微授精

体外受精は、卵子を体外に取り出し、
シャーレーの中で精子と受精させ、受精卵を
子宮に戻す治療法です。

自然に受精するのを待つ体外受精に対して、
顕微鏡と細いガラス管を用いて、人工的に
受精させる方法を顕微授精といいます。

保険適用外で費用は1回20~60万円程度です。
体外受精や顕微授精治療には、助成金が支給される
制度があります。

費用面でも不安が残る、不妊治療。
費用総額はいくら位かかるのでしょうか?

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■不妊治療の費用はいくらかかる?

妊活中の女性を応援するWebメディア
「妊活ボイス」が2017年10月に妊活中の
300名を対象に行った「妊活・不妊治療」に
関する調査によりますと、
「妊活全般にかかった費用」は平均で約35万円
という結果でした。

一方で、人工授精・体外受精・顕微授精の
いずれかを経験した人に限ると、
費用の平均額は約134万円まで上昇します。

さらに、不妊治療の中でも高額となる
体外受精・顕微授精の経験者となると
その治療費の平均は193万円まで上昇し
300万円以上かかった方も約6人に1人
(16.1%)という結果になりました。

また、国立成育医療研究センター不妊診療科医長
齊藤英和氏によりますと、体外受精により1児を
出生するためにかかる医療費の各年齢別の
平均額は、30代前半で約150万円
40歳で372万円、45歳で3704万円
47歳では、なんと2億3000万円にもなる
とのことです。

<不妊治療の助成金制度とは?>

先述の通り、体外受精や顕微授精等の高度治療は
お住まいの地域によって、助成金を受け取れる
可能性があります。

たとえば、東京都の場合、東京都特定不妊治療費
助成事業を行っています。

■対象となる治療

体外受精と顕微授精

■対象者(以下の要件を全て満たす方)

●体外受精、顕微授精以外の治療法では
妊娠の見込みがないか、極めて少ないと
医師が判断した場合

●指定医療機関で特定不妊治療を受けたこと

●申請日の前年(1月から5月までの申請日に
ついては前々年)の夫婦の合算の合計所得額が
905万円未満

■助成金額

治療1回につき、以下の助成額上限まで助成。
※初めて助成を受ける場合、上限額は
カッコ内の額

●治療ステージA:20万円(30万円)
●治療ステージB:25万円(30万円)
●治療ステージC・F:7.5万円
●治療ステージD・E:15万円(30万円)

「1回の治療」とは、採卵準備のための
投薬開始から体外受精・顕微授精1回に至る
治療の過程を指します。
また、以前行った体外受精・顕微授精により
作られた受精胚による凍結胚移植も1回とします。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.files/stage280328.pdf

■新型コロナウィルスによる要件緩和
①年齢要件

現在「治療期間の初日における妻の年齢が43 歳
未満である夫婦」とされていますが
令和2年3月31 日時点で妻の年齢が42 歳
である夫婦であって、令和2年度に
新型コロナウイルスの感染防止の観点から
治療を延期した場合は、妻の年齢が44 歳に
到達する日の前日までの間に限り対象者とする。

③ 助成回数

 現在「初めて助成を受けた際の治療期間の初日に
おける妻の年齢が40 歳未満の場合は、
6回(40 歳以上であるときは通算3回)」
とされていますが、令和2年3月31 日時点で
妻の年齢が39 歳である夫婦で、令和2年度に
新型コロナウイルスの感染防止の観点から
治療を延期した場合は、初めて助成を受けた際の
治療期間の初日における妻の年齢が41 歳未満で
あるときは、通算助成回数を6回とする。

■不妊治療の助成金制度実施
市区町村一覧(東京)

現在、東京都では下記の市区町村が不妊治療の
助成金制度を実施しています。

千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、
江東区、品川区、大田区、世田谷区、中野区
杉並区、豊島区、板橋区、練馬区、足立区、
葛飾区、八王子市、昭島市、調布市、国立市
東大和市、国分寺市、福生市、清瀬市、
武蔵村山市、稲城市、羽村市、あきる野市
奥多摩町
※令和2年度 

■男性不妊治療に係る医療費助成

特定不妊治療(体外受精および顕微授精)に
至る過程の一環として行われる
精巣内精子生検査採取法(TESE)
精巣上体内精子吸引採取法(MESA)
経皮的精巣上体内精子吸引採取法(PESA)
精巣内精子吸引採取法(TESA)の
費用の一部を助成。

●特定不妊治療の治療終了日の属する年度の
前年度(4月1日)以降に行われた手術1回につき
15万円を上限に助成。
※平成31年4月1日以降に行った手術は
初回の治療に限り、助成額が30万円に
拡大されました。

●特定不妊治療費助成の妻の助成上限回数の
範囲内で申請可能

●指定医療機関又は指定医療機関から
紹介された医療機関において手術を
受けたことが必要
※指定医療機関の主治医の指示のもとに
行われた治療に限る

●助成対象費用は、医療保険が適用されない
手術代及び精子凍結料

●男性不妊治療単独での助成申請は不可。
特定不妊治療費助成の申請と同時申請

●特定不妊治療費が助成の対象と
ならなかった場合は、男性不妊治療についても
助成の対象外。

■助成金申請方法

東京都へ下記6点の必要書類をそろえて
郵送にて助成金を申請し、約3~4か月後に
承認結果が届きます。

① 特定不妊治療費助成申請書
② 特定不妊治療費助成事業受診等証明書
③ 住民票の写し
④ 戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
⑤ 夫婦両方の所得関係書類
⑥ 領収書のコピー
⑦ 精巣内精子生検採取法等受診等証明書
⑧ 上記⑦の領収書のコピー

承認された場合、指定口座に助成金が
振り込まれます。

以上が、東京都の不妊治療の助成金制度に
なります。

詳しくは、東京都のHPにてご確認願います。

東京都特定不妊治療費助成事業の概要
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/kosodate/josei/funin/top.html

万一、東京都の助成金申請が承認されなかった
場合でも、市区町村独自の助成金制度を
利用できる場合もありますので、お住まいの
市区町村にご確認ください。

不妊治療は、時間との戦いです。
子供が欲しいとお考えでしたら、早めに医療機関を
受診し、必要な場合は助成金申請も検討
しましょう。

文:山崎美紗 
ファイナンシャルプランナーCFP®
FP1級技能士、チャイルドカウンセラー

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