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子供の憧れの職業、パイロットがあります。
2017年のソニー生命保険の調査によると、男子高校生がなりたい職業の
8位にパイロットがランクインしています。
ファイナンシャルプランナーとしては、
夢の実現を応援したいところ。
小学生の夢物語の職業ランキングではなく、社会に出ることに対して、
より現実味を帯びた高校生が志望しているのは興味深いですね。
医師や弁護士と違い、パイロットになる方法は意外と知られていないようです。
今回、待遇やパイロット人生等も含めて、エアラインパイロット(以下、パイロット)
に焦点を当てて、色々とご紹介しようと思います。
<パイロットの平均給与、待遇など>
■パイロットの給与はいくらくらい?
厚生労働省の平成28年の「賃金構造基本統計調査」によりますと、
従業員1000人以上の規模の企業で、
月収164万円、年間賞与は242万円となっています。
よって、賞与込の年収は、2210万円となります。
ちなみに、筆者の知人の元大手航空会社機長の話によると、
大手2社の平均年収は機長2500万円、副操縦士1500万円(本人談)ほど
とのことですので、平均すると厚生労働省のデータの金額程度になります。
基本給は、一般企業の会社員とさほど変わりませんが、国内線乗務手当や
国際線深夜手当等の「乗務手当」により収入が増減します。
会社によって違いはあるそうですが、飛行機が出発する際、プッシュバック
(飛行機がスポットを離れてバックする)をした時刻から、目的地に到着して
スポットに着いた時刻でカウントされるそうです。(筆者の知人の副操縦士談)
■パイロットの待遇は?
ANAのHPによりますと、
1週間の平均勤務時間は40時間以内で月10日休みが基本になります。
また、航空会社によりますが、福利厚生としては、
無償の航空券が配布される会社もあります。
こちらは、繁忙期には使用できず、
予約もできませんが本人の親や妻、子供の分も配布されるため、
年に数回、タダで国内旅行が楽しめます。
国際線もグループ会社
(例:ANAはスターアライアンスグループ)の航空会社ですと
航空券が95%オフ(機内食代や手数料は要支払い)で
利用できますので、
ほぼタダで海外旅行も楽しめます。
また、本人退職後も亡くなるまで、
本人と配偶者に、無償航空券が配布される
航空会社もあります(元大手航空会社機長談)ので、
パイロットになると
飛行機代を支払う旅行とは一生無縁になりそうですね。
<パイロットになるにはどうすればいいの?>
パイロットになる方法は、主に4通りあります。
①航空会社の自社養成に応募
②航空大学校に入学
③東海大学などパイロット養成科のある大学に入学
④自衛隊からの転職
①航空会社の自社養成に応募
まず、①の航空会社の自社養成に応募するのが王道で、大学卒業時もしくは、
既卒で航空会社に入社し、自社養成でパイロットになる方法です。
ANAの受験資格は、学部や年齢、性別不問で、
昔は要件があった視力も、
現在は眼鏡やコンタクトをして0.7以上の
矯正視力があれば応募可能です。
訓練を海外で行うこともあり、TOEIC700点程度の英語力は必須になります。
入社試験は、グループ面接、航空適性検査、航空身体検査
(定年までパイロットとして働けるかを見られるため、
通常の身体検査よりも厳しい)、
シミュレータ、個人面接、英語コミュニケーションテストなどが行われます。
②航空大学校に入学
次に②の航空大学校に入学する方法です。
航空大学校とは、日本で唯一、
国が作ったパイロット養成機関です。
応募要項に、学校教育法による
修業年限4年以上の大学に2年以上在学し、
全修得単位数が62単位以上ある者や
短期大学もしくは高等専修学校を卒業した者
とありますので、少なくとも、
2年は一般的な大学に通い、大学の途中で受かれば
3年次から航空大学校に編入というスタイルになります。
入学料282,000円(入学手続き期間内に納付)、
授業料(課程毎に前納;宮崎学科課程668,000円、
帯広フライト課程802,000円、
宮崎フライト課程802,000円、
仙台フライト課程936,000円)、
寄宿料(月額1500円を課程毎に前納)、
制服・教材費等(入学直後に約8万円)
が必要となるほか、
毎月の生活費としては、概ね、
寮費・寮での食事(約4万6千円)、
学用品等(約8千円)、
被服のクリーニング等(約5千円)、
雑費等(約4千円)かかるようです。
(航空大学校HPより)
航空大学校の場合、2年間で総額約500万円となります。
③東海大学などパイロット養成科のある大学に入学
③東海大学などパイロット養成科のある大学に入学する方法もあります。
東海大学航空宇宙学科 航空操縦学専攻は、
ANA全面協力のもと、
在学中にライセンスを取得できる国内大学初の
エアラインパイロット養成コース
となっております。
2年次から3年次にかけて約15か月間、
アメリカ、ノースダコタ大学に留学をし訓練します。
2016年度の学費は、
初年度1,964,200円、2~4年次、各1,746,000円。
また、留学費用として、2~3年次の
留学中における授業料約$83,800(2015年度)や
生活費及び渡米費用等がかかります。
東海大学の場合、4年間の総額で約2000万円ほどかかります。
学費は一般的な大学に比べ、とても高額になりますが
、国土交通省のデータによりますと、
パイロット1人を1人前にするには、
自社養成で4~5000万円かかりますので、
私大の学費が高額なのは致し方ないのかもしれません。
また、2016年度の卒業後の進路については、
ANA6名、ANAウィングス9名、
バニラエア8名、スターフライヤー4名、
ソラシドエア2名となっています。
(東海大学HPより)
自衛隊からの転職
④最後に、自衛隊からの転職という方法です。
年間数名は、自衛隊からパイロットになる方がいるようです。
自衛隊からパイロットになる方法は、
こちらでは割愛させていただきます。
平成25年に国土交通省 航空局が公表した
「乗員政策等に係る検討について」
によりますと、主要航空会社のパイロットの出身構成は、
40%が航空大学校、
34%が自社養成、26%が私大、自衛隊等となっています。
<パイロット人生とは?>
パイロット人生とは、どのようなものなのでしょうか?
もちろん、昇進度合いなどは個人差がありますが、
一般的には、ANAの場合、
地上職勤務2年→訓練2年→副操縦士→40歳前後で
機長になることが多いようです。
基本的には60歳で退職ですが、
検査に受かれば65歳までシニアパイロット
として勤務することが可能です。
<パイロットになるためにやるべきこと、やらざるべきこと>
パイロットになるために、やるべきことと、
やらざるべきことがあります。
やるべきこととしては、TOEIC700点レベルの
英語力取得は必須です。
航空会社によっては海外での訓練もありますし、
機長のライセンスを取得できれば、
海外の航空会社でパイロットとして勤務する事も可能になります。
一方、やらざるべきこととしては、
「海外で事業用免許を取ること」になります。
かつては、海外で短期間に安く事業用操縦免許を取得し、
それを武器に国内の航空会社に
就職するという方法もあったそうですが、
現在では海外で取得した事業用操縦免許を
所持している場合は、採用試験自体に
応募ができない場合もあります。
<パイロットに求められるもの>
心身ともに健康が第一条件です。
お客様の大切な命を預かり、
目的地まで安全、快適、定刻にお連れする責任感も必要になります。
また、パイロットは、機種や路線が変わる毎に
国家試験が行われるため、
定年まで学び続ける向上心も必須です。
<まとめ>
近年、観光客数の増加、LCCの増加や航空機の小型化により、
世界中でパイロットが不足しています。
また、国内ではパイロットの年齢構成が40代後半に偏っており、
その層が一気に退職を迎えるのが
2030年になります(「パイロットの2030年問題」)。
そのため、2016年8月に国土交通省は、
2018年度より航空大学校の定員を72名から108名に
増やすと発表しました。
今後、さらに需要が高まるパイロット。
女性パイロットも徐々に増えてきていますので、
男女問わず、今からお子さまと一緒に
パイロットを目指されてはいかがでしょうか?
尚、同程度の収入を得るためだけにパイロットを目指す人も
いらっしゃると思いますが、他にも年収2,000万円を
狙える会社はたくさんあります。
例えば、総合商社は年収2,000万円がざらにいます。
海外赴任すれば赴任手当もつきます。
海外プラント関係の方も海外赴任を加味すると
高額の年収になります。
海外赴任系の会社は、現地滞在すると
年収が2倍になることもあります。
キーエンスという会社は平均年収が2,000万円ですし、
大手のIT会社でも世界基準の年収を確保するため、
年収2,000万円~3,000万円はあたりまえです。
弁護士も年収2,000万円超はざらにいます。
年収を確保したいだけでしたら、
体力的に厳しいパイロット以外にも選択肢はあるのです。