超高齢化社会となった日本ではライフプランを考え、シミュレーションをする人が増えています。

ライフプランのシミュレーションをすることで、長期的な展望を考え、お金が不足するのか否か、不足するとしたらいつ、どれくらい不足するかが明確になります。

しかし、ライフプランのシミュレーションをするといっても何から始めていいか分からないと言う方も多いのではないでしょうか。

そんな時に頼りのなるのがお金の専門家であるFPです。当記事ではFPにライフプランのシミュレーションを依頼する際のメリットやデメリットを解説します。

目次

1.FPとは

FPとはお金の専門家です。幅広い知識を持ち、様々な分野について知見があるため、ライフプランのシミュレーションをしてもらうには最適な存在です。

FPになるために習得するための知識は大きく分けて6つの分野があります。FPになるための知識は以下の通りです。

①年金

年金は老後の収入の柱です。年金がいくらくらいもらえるのかを把握することが出来なければ、老後の暮らしをシミュレーションすることができません。

年金についてのシミュレーションをする必要があるタイミングは老後ではありません。老後の年金が足りない場合、対処できるのは現役時代。

老後の資金が不足する場合は、現役時代に老後の生活用にお金を貯めたり、確定拠出年金に拠出したりするなど、自分で年金を用意する必要があります。

年金手帳とお金

②貯蓄・資産運用

貯蓄や資産運用の知識もライフプランのシミュレーションをするうえで欠かせない分野です。資産運用を行うことで、今ある資金を増やすことができます。

老後に財産を取り崩す年齢になっても運用しながら使って行くことで、資産の目減りする速度を抑え、資産の寿命を延ばすことができます。

資産運用では知識があることで、必ず利益を上げられるというわけではありません。

しかし、リスク・リターンの考え方や、投資対象となる資産の特徴を理解することで、成功する可能性を高めることができます。

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③税金・タックスプランニング

資産を貯めるためには税金の知識も必要です。収入を得ると所得税がかかります。所得税には様々な所得控除制度があり、上手に活用することで、効率的にお金を貯めることが可能です。

FPは税金の専門家ではありませんので申告手続きを行うことはできませんが、税金の基本的な知識を持ち、適宜税金の専門家である税理士と連携しながら仕事を進めていきます。

税金のイメージ画像

④保険・リスク管理

人生においてリスク管理はつきものです。生命保険や損害保険は人生で発生する可能性のあるあらゆるリスクに備えるためにあります。

しかし、保険を多く契約しておけばよいというわけではありません。保険にはコストがかかるので、コストに見合う効果があるかを判断して契約する必要があります。

保険の契約をする際に必要となるのはリスクについて正しく理解し、保険料を支払うコストがリスクの回避策としてみあっているかどうか検討することです。

FPは人生におけるリスクについても知識があるため、保険の加入有無を相談する相手としても適しています。

生命保険の書類や電卓、印鑑、通帳などの関連アイテム

⑤不動産

自宅は人生で最大の買い物です。不動産の購入に失敗してしまうとライフプランは大きく崩れます。不動産の知識を正しくつけることで、人生をより豊かにすることができます。

不動産を購入する際には収支や貯蓄も含めて購入する必要があります。

  • ・自分の収入や家族構成を踏まえて自宅不動産として購入する物件がどのようなものか
  • ・自宅を購入するためのローンの借入はいくらくらいまでなら適切か

など、不動産周辺の相談についても対応することが可能です。

一軒家の前でたたずむ4人家族

⑥相続・事業承継

相続・事業承継は自分が蓄えた財産や事業を次の世代につなぐために重要な知識です。

高齢の方がライフプランを考える際は多くの場合、相続や事業承継のこともふまえてシミュレーションする必要があります。

夫がベッドに横たわりそれを見て悲しむ妻

上記の6分野はFPなら必ず知識として身に付けているものです。どれもライフプランを作る際に欠かすことのできない分野であるといえるでしょう。

2.FPにライフプランのシミュレーションをしてもらうメリット

FPにライフプランのシミュレーションをしてもらうことでどのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に確認していきましょう。

(1)ライフイベントの費用相場がわかる

FPはお金の専門家として知識を得ながら様々な人の相談を受けています。

人生は人それぞれですが、FPは多くの人が通るライフイベントを熟知しています。人生でかかるお金は毎月の生活費だけではありません。結婚や出産、子どもの教育費、マイホームの購入などさまざまなライフイベントがあります。

FPはこのようなライフイベントの費用相場を理解していますので、これから起こるライフイベントを想定してシミュレーションを行うことができます。

もちろん、ライフイベントにどれくらいお金をかけるかは人それぞれですが、まずは費用相場を知っておくことでライフプランのシミュレーションを作る際の目安とすることができるでしょう。

今後起こるライフイベントを知っておくことで、お金をどれくらいのペースで貯めていくかがわかります。

早めに想定してコツコツ貯めておくことで、直前になってお金が足りないという事態を防ぐことができます。

(2)複合的な知識を活用してアドバイスをしてもらえる

FPの強みは様々な知識を複合的に持っているという点です。ライフプランのシミュレーションを作る際にはさまざまな知識が必要です。

ライフプランではあらゆる事態を想定する必要があります。一つの分野に特化しているよりは幅広い知識を持つFPに相談するのがよいでしょう。

FPは税理士などの各分野の専門家と適宜連携しながらアドバイスをすることができます。

(3)具体的なアドバイスがもらえる

FPは様々な人から相談を受けているため、同じような悩みを抱えている人が具体的にどのようなことを行って解決しているかがわかります。

  • ・支出を抑えるための家計簿の書き方
  • ・所得税を減らすための税制優遇措置の紹介

など、アドバイスできる分野が広いため、相談者が抱える課題に応じた対応策を具体的にアドバイスしてくれるでしょう。

3.FPにライフプランのシミュレーションをしてもらうデメリット

FPにライフプランのシミュレーションをしてもらうことにデメリットはあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

(1)有料相談もある

FPの相談には有料相談の場合もあります。よりよいライフプランを作るために有意義になるのであれば、有料相談を利用することも選択肢の一つとなります。

しかし、有料相談によって費用をかけてまで行う必要があるかはよく検討する必要があるでしょう。有料相談の場合は費用やどの程度相談をすることができるのかよく確認して進めるようにしましょう。

(2)特定の商品の勧誘を目的としていることもある

FPの無料相談では特定の商品の勧誘を目的としていることがあります。

FPは基本的に慈善事業ではありませんので、収入を得ています。FPの収入は商品の勧誘によって手数料を得ているケースも多いのです。

例えば、生命保険の勧誘を目的とした無料相談会であれば、ライフプランのシミュレーションを行ったあとに基本的に生命保険を勧誘することになります。

もちろん、本当に必要な場合もありますが、勧誘があるということを前提に相談して、本当に必要かどうかをよく検討してから契約するようにしましょう。

4.FPにライフプランをシミュレーションしてもらう前に自分でしておくべきこと

FPにライフプランのシミュレーションをしてもらう前に自分で準備しておくことで、より有意義な相談をすることができます。何を準備しておくべきなのか解説します。

(1)現在の収入・支出を確認しておく

ライフプランのシミュレーションをするためには現在の収入や支出を基に試算を行います。

将来のライフイベントなども大きな支出として重要な要素ではありますが、現在の収入や支出がわからなければ、前提となる毎月の収支がシミュレーションできません。

現在の収入を把握するためには、毎月の給料やボーナスの金額を把握して年間の収入額を把握しておくとよいでしょう。

支出額については毎月の支出額を把握しておく必要があります。出費が多い月と少ない月があると思いますので、平均的にいくらくらい使っているかを把握しておくとよいでしょう。

収入と支出が現状と大きく異なる水準でシミュレーションをしても、意味のないものとなってしまいますので、できるだけ正確な数値を伝えるようにしましょう。

(2)現在の貯金額・住宅ローン残高を確認しておく

現在の貯金額や住宅ローンなどの借入残高も把握しておく必要があります。

ライフプランのシミュレーションをする際は老後資金や住宅購入などのライフイベントに備えて貯金を貯めていきたいと考える方も多いでしょう。

目標金額に到達するためにあとどれくらいなのかを把握するためにも貯金の額は把握しておく必要があります。

また、住宅ローンの借り入れがある場合は、借入残高と返済予定もふまえてシミュレーションをする必要があります。住宅ローンの金利や固定金利なのか、変動金利なのかを把握しておくとよいでしょう。

変動金利の場合は将来の金利上昇によって負担が増える可能性もありますので、金利が上昇した場合のシミュレーションも行っておく必要があります。

(3)ライフイベントを把握しておく

ライフイベントとは結婚、出産、子育て、住宅購入など、人生でこれから起こる可能性が高いイベントです。

自分の今後どのようなイベントがあるかを把握しておくことと、どれくらいお金を使いたいかを検討しておくとよいでしょう。

例えば、結婚であれば、結婚式や新婚旅行など使うお金は人それぞれです。ライフイベントとおおよその相場観を把握し、自分がどれくらい使いたいかを考えておくとよいでしょう。

(4)退職金の有無を把握しておく

会社員や公務員の方は毎月の収入やボーナスが主な収入源となります。臨時収入として大きな収入となるのが退職金です。

退職金が出るのか出ないのか、出るとしたらどれくらいの金額が出るかはライフプランのシミュレーションをするうえで重要な要素です。

特に老後の資金について考える際に、退職金は重要です。老後は年金収入が主な収入源となり、多くの人は支出が収入を上回り、現役時代に貯めたお金を取り崩していくことになります。

そのため、老後の資金は現役時代にコツコツと貯めていく必要があるのです。

目標金額を設定して貯蓄をする場合、退職金の有無によって毎月の必要な貯蓄額も変わってきますので、退職金の有無と金額はライフプランのシミュレーションをするために重要な要素と言えるでしょう。

5.シミュレーションをしてもらったあとに行動を変えることが重要

FPにライフプランをシミュレーションしてもらうことによって、自分の将来の人生設計をすることができます。

お金について幅広い知識を持つFPに相談することで、自分の知らない知識が身につき現状の課題や課題に対する対応策も見えてきます。

しかし、FPにシミュレーションをしてもらった後に行動を変えなければ意味がありません。ライフイベントのためにお金を貯める必要があるということがわかったのであれば、

  • ・収入を増やす
  • ・今ある貯蓄を少しでもいい利回りで運用する
  • ・節約をして支出を減らす

など具体的に行動する必要があります。

FPにライフプランをシミュレーションしてもらう際にはシミュレーション自体が目的ではなく、シミュレーションのあとに行動を変えることに意味があるということは理解しておくべきでしょう。

6.まとめ

FPはお金の専門家として幅広い知識を持っています。ライフプランのシミュレーションをするためには様々な知識が必要となるため、FPはライフプランのシミュレーションをしてもらう最適な存在と言えるでしょう。

FPに相談をすることで、今まで知らなかった知識が増え、具体的にアドバイスをもらうことができます。

ただし、FPとの相談には有料の場合や、無料相談には金融商品の勧誘を前提としているものもありますので、注意が必要です。

FPと相談する際は事前に収支や退職金の有無などを調べておくことで、より有意義なものにすることができます。

FPにライフプランのシミュレーションをしてもらい、具体的な行動に移すことができれば、よりよい人生を送ることができるでしょう。

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監修 高橋成壽(たかはし なるひさ)
ファイナンシャルプランナー
・日本FP協会認定 CFP(R)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
金融・投資アナリスト
・日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA(R))
・証券アナリスト 第二次試験合格(CMA未登録)


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