人生100年時代といわれる超高齢化社会が到来しています。長寿になることは喜ばしいことではありますが、100年生きた場合にお金が足りるのか不安に感じる方も多いでしょう。
そのため、「マネープラン」という言葉を聞いて興味を持つ方も多いのではないでしょうか。
マネープランとは人生を送るうえでのお金の計画のことです。マネープランを作成する際はさまざまなシミュレーションを行なって計画を立てることが大切です。
当記事ではマネープランやそれに伴うシミュレーションの方法について解説します。
目次
1.マネープランとは
「マネープラン」とは、自分のライフプランを考え、収入やこれから起こる人生のイベントをふまえ、お金の計画をたてることです。
マネープランをたてるために、まず重要となるのが「収入」です。収入を把握することができなければいくら使って良いかプランをたてることができません。
収入は現役時代の収入だけでなく、老後の収入の柱となる年金や退職金についても把握しておく必要があります。近年は医療技術の発達もあり、長寿命化しています。
寿命が伸びること自体は喜ばしいことではありますが、高齢になってもお金を確保できなければ健やかに暮らすことができません。
収入の把握とともに重要となるのが「支出」です。支出には毎月の生活費の他に人生におけるイベントも把握しておくと良いでしょう。
イベントとは結婚や出産、マイホーム購入など、多くの人が通るライフイベントです。ライフイベントを把握しておくことで、大きな出費に備えて計画的にお金を貯めることができます。
マネープランをたてることは人生設計をすることでもあります。マネープランを作ることで自分は何を大事にして、何にお金を使って行くのかを検討するきっかけになるでしょう。
自分の考えを明確にすることで自分が重要だと考えるものにお金を使うことができます。
2.マネープランを作成するメリット
マネープランを作成することでどのようなメリットがあるのでしょうか?具体的に確認してみましょう。
(1)ライフイベントを一覧表にできる
マネープランを作成することでライフイベントを一覧表にすることができます。ライブイベントを一覧にしておくと、いつ、どのようなイベントがあるかを把握することができます。
それぞれのイベントでどれくらいお金がかかるかを把握しておけばイベントに向けてお金を準備することができます。
大きなお金が必要となるイベントは早めから計画的に資金を貯めはじめることが重要です。
ライフイベントを一覧表にすることで、将来のイベントを早期にイメージすることができるでしょう。
(2)自分の考えを明確にできる
マネープランを作成することで、自分の考えを明確にすることができます。
マネープランを作成することで、自分の人生でどのようなことが起き、どのようなことにお金を使っていくのかがわかるのです。
マネープランを作成する際は一度一般的なお金の使い方で作成することになりますが、当然お金の使い方は自由です。多くの人がお金を使うことでも自分にとって必要ないと思えば節約しても良いでしょう。
マネープランを作成することで、自分がどのようなことに、お金を使いたいかを明確にすることができます。
(3)収入と支出のバランスがわかる
マネープランを作成することで、収入と支出のバランスを明確にすることができます。支出が収入を上回りそうな場合には収入を増やすか支出を減らすしかありません。
しかし、収入を増やすということは簡単なことではありません。どちらかというと支出を減らす方が簡単でしょう。
支出を減らす際は何を我慢するか検討することになります。マネープランを作成することで、何にお金を使うか明確にするきっかけになります。
例えば、マイホームにお金をかけるために、旅行やマイカーを我慢するなど、お金を使うことに優先順位をつけることができるのです。
マネープランを作っていなければその時々の判断になりますので、マイホームや老後資金の蓄えなどは後回しになりがちです。
マネープランを作成することで生まれるメリットは、現在の収支バランスだけでなく、一生涯の収支バランスを確認することができる点にもあります。
一生涯の収支バランスを確認することで、日々のお金の使い方にも変化ができるでしょう。
3.マネープランの作り方
マネープランを作るためにはどのようにすればよいのでしょうか。具体的な手順を解説します。
(1)未来のイベントを書き出す
マネープランを作るためには未来の大きな出費が必要となるイベントがいつ発生するか把握しておく必要があります。具体的には、
- ・出産
- ・マイホーム購入
- ・子供の進学、結婚、出産
などです。イベントの時期や金額を見積もっておきましょう。
子供の進学など具体的に時期が決まっているものと子供の結婚など、時期がわからないものがあります。時期がわからないものについてはおおまかでいいのでいつ頃に発生しそうか聞いておきましょう。
ライブイベントは正確に時期や金額を把握する必要はありません。
- ・イベントがあることを把握する
- ・大まかに金額を見積っておく
この2つが重要です。
(2)現在と将来の収入を算出する
マネープランをたてるうえで収入を把握することが重要です。マネープランを作成するうえで収入の柱となるのは、以下3つです。
- ・給与
- ・退職金
- ・年金
上記の3つ以外に不動産の収入や、親からの贈与や相続が期待できる場合は含めておいてもよいでしょう。
ただし親からの贈与や相続は過度な期待は禁物。介護などで費消する可能性がありますので、少なめに見積もっておきましょう。
(3)生活費として支出する額を算出する
マネープランを作る際は、生活費として支出する額を算出することが重要です。
支出額を算出する際にまず参考とするべきなのは現在の支出額です。現在の支出額がわからないと言う方は、家計簿をつけてみるとよいでしょう。
将来生活費が変動する要因がある場合は、反映してマネープランを作成します。変動要因としては、
- ・出産により家族が増えることで生活費が増加する場合
- ・老後の介護費用
などが考えられます。
生活費についてはインフレも考慮する必要があります。インフレとは物価上昇のことで、物価が上昇した場合、同じ生活水準で暮らすために、今よりも多くのお金がかかることになります。
日本は物価が上昇し続けるような状況ではありませんが、リスクシナリオとして、毎年1%程度の物価上昇を見込んでおいてもよいでしょう。
4.マネープラン作成後にとるべき行動とは
マネープランは作成することが目的ではありません。作成後にどのような行動をとるかが重要です。
マネープランを作成したあとにどのような行動をとるべきなのか具体的に解説します。
(1)支出を減らすための行動
マネープランを作成し、思ったよりも資金が足りない場合やより余裕を持ったマネープランにするためには支出を減らすことが重要です。
①ライフイベントの支出を減らす
支出を減らすためにライブイベントでの支出を減らすことが重要です。結婚式の費用やマイホーム購入など、ライブイベントでかかる費用は多額でマネープランに大きく影響します。
相場並がどれくらいなのか知ることは重要ですが、自分がどれくらいお金をかけたいかもよく検討しておく必要があるでしょう。
自分にとって重要でないと考える場合は無理に相場並に費用をかける必要はありません。逆に自分の人生で重要なライフイベントなのであれば相場以上にお金をかけてもよいでしょう。
ライブイベントでかかる一般的な費用を見ながら、自分にとって重要なライブイベントに多くお金をかけられるように調整することが大切です。
②日常生活の無駄をなくす
ライブイベントのように一度に多額の出費があるわけではありませんが、積み重なって大きな出費となるのが日常の生活費です。
日々の生活で無駄を無くすためには家計簿をつけて支出を把握することが重要です。
マネープランをたてることで、自分が将来必要なお金を把握することができますので、日常生活費の無駄を無くすモチベーションを高めることができます。
支出の中でも、初めに見直したいのは固定費です。
通信費や家賃、生命保険など固定費が高すぎる場合、節約をしてもなかなか支出を減らすことができません。まずは固定費に無駄がないか点検するようにしましょう。
固定費を見直すことができたら次は外食費や趣味にかける費用などで高すぎるものがないか点検するようにしましょう。
(2)資産を増やすための行動
マネープランを作成して、より良いものにするためには支出を減らすだけでなく、資産を増やすということも重要です。
資産を増やすためにはどのようなことをすればよいのでしょうか。具体的に解説します。
①今ある資産を運用する
資産を増やすためには今あるお金を運用して増やすことが重要です。近年は超低金利の時代となっており、定期預金などの元本保証の商品ではほとんど増えることはありません。
株式や債券などリスクのある資産で運用する必要があるでしょう。しかし、株式や債券などの運用は必ずうまくいくわけではありません。
リスクがあることもふまえて運用する必要があります。リスクがある資産で運用する際は、資産が偏らないようにさまざまな資産に分散して投資をするということが重要になってきます。
また、換金するタイミングによって損失が大きくなる可能性もあります。長期間運用できる資金で運用するようにしましょう。
②確実に貯められるようにする
現役世代の方は収入が減少する老後に備えて少しずつでもお金を貯めることが必要になります。
確実にお金を貯めるためには貯められるために貯めようと考えるのではなく、確実に貯められるように仕組み化することが大切です。
確実に貯められるようにするには給与天引きや口座からの自動引き落としにするなど自動的に貯められるようにすると良いでしょう。
お金を貯める用の口座と生活用の口座を分けて管理することも有効な手段の一つです。貯蓄用のお金はついつい使ってしまうことがないようにしましょう。
5.マネープランは定期的に見直しが必要
マネープランは一度作成して終わりではありません。定期的に見直しをすることが重要です。
(1)収入も支出も変わる可能性がある
マネープランを作成する際に、収入と支出を記入していく必要があります。しかし、収入も支出もあくまで、平均的な金額や現在の状況に基づいた仮定に過ぎません。
転職などによって収入が大きく変わるときはマネープランを更新していくようにしましょう。
支出も想定していた以外のライフイベントが発生することや思ったよりも費用がかからないこともあるかもしれません。
常にマネープランを更新しながら人生設計をしておくとよりよい人生を送るための計画がたてられるでしょう。
(2)インフレや制度の変更には注意が必要
自身の収入や支出の変化がなくても世の中が大きく変わることもあります。特にインフレには注意が必要です。インフレが継続的に進むと生活費が徐々に上昇していきます。
生活費が増えることでマネープランには大きく影響を及ぼしますので、インフレ率には注目しておくようにしましょう。
公的年金などの社会福祉制度の改定にも注意が必要です。例えば現在は介護保険によって介護の負担が増えすぎないように自己負担額の上限が決められています。
少子高齢化によって財源が逼迫した場合、自己負担額が増える可能性もあります。
このような、社会福祉制度の改定はマネープランを作る際の前提が大きく変わることになりますので、注目しておく必要があります。
6.まとめ
マネープランを作成することで、今後の人生設計の役に立ちます。将来のお金について考えることで、少しずつお金を貯めることや支出を抑えることも真剣に考えることができるでしょう。
マネープランを作ることはとても難しいことのように感じる方も多いかもしれませんが、実は難しいことではありません。収入や支出、将来のライブイベントを把握することで簡単に作ることができます。
マネープランは作成することがゴールではなく、作った後の行動が大切です。マネープランを作成し、日々の生活を改善することやしっかりとお金を貯めることが重要です。
マネープランを作成したあとも随時見直しを行ってよりよい人生設計を行えるようにしましょう。
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監修 高橋成壽(たかはし なるひさ)
ファイナンシャルプランナー
・日本FP協会認定 CFP(R)
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
金融・投資アナリスト
・日本テクニカルアナリスト協会 認定テクニカルアナリスト(CMTA(R))
・証券アナリスト 第二次試験合格(CMA未登録)
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