ファイナンシャルプランナーへの相談は、
無料から万単位になるケースまで料金に大きな違いがあります。
どうしてこのような差が出るのか、
不思議に思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは、相談料が異なる理由やおおよその相場についてと、
ファイナンシャルプランナーを選ぶ際のポイントを紹介していきます。
■ファイナンシャルプランナーの概要
ファイナンシャルプランナーは、いわばくらしに関わるお金のエキスパートです。
多くは個人客を対象として、日々の家計の悩みや住宅ローンの負担、生命保険の選び方から老後の生活設計まで、幅広い分野でアドバイスを行い、ライフプランニングを行います。
ファイナンシャルプランナーの取り扱う分野は幅広く、生命保険や損害保険から公的年金、税制、金融資産の運用まで対象としています。
また、不動産の有効活用や相続などについても相談できます。
ファイナンシャルプランナーは業務独占資格ではないため、資格がなくても業務を行うことに問題はありません。
取得していないのに国家資格の名称である「FP技能士」を名乗ることはできませんが、ファイナンシャルプランナーを名乗ったり業務を行ったりすることに法的な問題はないのです。
ただし、適切に業務を遂行するためには高度な専門知識が必要となる職業です。また、資格を取得しておくことは、顧客の信頼にもつながります。
そのため、ファイナンシャルプランナーは国家資格か民間資格のいずれかを取得していることが一般的です。
ファイナンシャルプランナーの資格には、国家資格の「FP技能士1~3級」と民間資格の「AFP」「CFP」があります。
民間資格のCFPは世界24カ国・地域で認められた国際ライセンスで、国家資格のFP技能士1級と同等であるとされています。
AFPは国家資格のFP技能士2級と同程度です。
また、AFPとCFPは2年間の有効期限があり、更新するためには所定の継続教育を受けることが義務付けられています。
AFP、CFPを取得しているファイナンシャルプランナーであれば、最新の知識に基づいたコンサルティングが期待できるでしょう。
■ファイナンシャルプランナーに相談するメリット
日常生活におけるお金の流れは管理できても、住宅の購入や妊娠・出産、子どもの進学(入園、卒園、入学、卒業)などさまざまなライフイベントに備えて長いスパンで適切に生活設計を行うのは難しいものです。
また、万が一に備えて加入する生命保険は、生活環境が変わるごとに見直しが必要ですが、多くの商品があるためにどれに加入すれば良いかわからない人も多いでしょう。
このようなくらしに関わるお金については、インターネットを使ってある程度は自分で調べることもできます。
しかし、インターネット上にはさまざまな情報が飛びかい、なかには信頼性の低いものもあるのが実情です。
充分な知識のない素人が自分に合わせて情報を適切に取捨選択することは、なかなか難しいでしょう。
そのようなとき、頼りになるのがファイナンシャルプランナーです。
お金がらみの悩みごとについて、専門家としての適切な意見を聞くことができるのが大きなメリットといえるでしょう。
また、当事者になるとかえって悩みの本質が見えにくくなることがありますが、ファイナンシャルプランナーは第三者からの視点で冷静に問題を分析し、解決案の提案や助言を行います。
自力では知らなった制度やサービスを知ることもでき、より効率的にお金を使えるようになるでしょう。
■こんなときはファイナンシャルプランナーに相談!
経済的な不安や悩みはあるものの、どんなことをファイナンシャルプランナーに相談したら良いかよくわからないという人もいるでしょう。
基本的に、ファイナンシャルプランナーにはくらしに関わるお金に関するさまざまなことを相談できます。
たとえば、無駄遣いはしていないのに貯蓄が増えないといった悩みでも相談可能です。
保険料が家計の負担になっていたり、教育費と住宅ローンで経済的な負担が大きくなったりしたときも、相談のタイミングでしょう。
また、結婚や妊娠、出産などで家族構成が変わったときも、資金計画の見直しが必要ですので相談すると良いでしょう。
ファイナンシャルプランナーへの相談で多いのが、生命保険などの保険商品に関するものです。
保険は、いったん加入すると支払いが長期にわたって継続し、家計に対する割合も大きいものです。
また、結婚や出産など生活環境や家族構成が大きく変化した際は見直す必要がありますが、どう変えたら良いのかよくわからない人も多いでしょう。
ファイナンシャルプランナーに相談すれば、状況に応じて適した商品の提案を受けることができます。
保険料の節約に結びつくことも多いです。
住宅ローンは金額が高く、長期に及ぶことが多いため、わずかな金利の違いやどのタイミングで繰り上げ返済をするかといったことで総返済額が大きく変わります。
現在ローンを返済中で、収入の減少や支出の増大により経済的に厳しいといった人は相談すると良いでしょう。
低金利のローンに借り換えたときの返済シミュレーションや、月々の返済額を減らす方法などを知ることができます。
もちろん、住宅の購入を検討中で新規にローンを組む予定の人も、相談すると良いでしょう。
借りられる上限や適切な返済計画など、有益なアドバイスが受けられます。
老後に必要な生活資金は、個人の職業や保有する資産額、家族構成などによって異なるものです。
ファイナンシャルプランナーは、生活費や貯蓄額、今後必要になることが予想される教育費などさまざまなデータをもとに、どれくらい備えておくべきかを算出して提示し、対策の提案も行います。
具体的に備えるべき金額の目安を把握することで、適切な準備が行えるようになるでしょう。
そのほか、節約しているつもりなのに毎月赤字になる、貯蓄を増やしたいがどこを節約すれば良いかわからないといった家計に関する悩みや相談にも答えます。
専門家にこんな質問をしてもいいのだろうかと悩む必要はありません。
気軽に相談すると良いでしょう。
■ファイナンシャルプランナーの相談料
ファイナンシャルプランナーに相談するとき、多くの人が気になるのが料金はいくらかかるかということでしょう。
実は、相談料には統一した決まりはありません。
個々で独自に設定していますので、どのファイナンシャルプランナーに相談するかによって相談料は異なります。
1時間でいくらというような時間制の料金体系を採用していることが一般的です。
1時間あたりの相談料は、無料のところから2万円のところまで幅広く異なります。
平成23年の日本FP協会の調査によれば、時間制のファイナンシャルプランナーの1時間あたりの相談料は、
5000円未満が25%、
5000~1万円で41%、
1万~2万円が28%、
2万円以上が2%でした。
上記は基本的な相談料です。
これ以外に、ライフプランの提案書や資産運用のキャッシュフロー計算書などの作成が必要な場合は、個別に料金が必要になることもあります。
また、さまざまなお金の悩みが相談できるファイナンシャルプランナーですが、弁護士や税理士などの取り扱い分野に関しては答えることができません。
その場合は、必要な専門家と提携して相談にのるという形になり、別途費用が発生することがあります。
■相談料の目安とは?
前述のとおり、ファイナンシャルプランナーの相談料は0円から2万円程度までさまざまです。
また、必ずしも時間制とは限らず、月単位や年単位で顧問契約して月額3万円や年額10万円といった相談料を設定しているところもありますし、3回で3万円などのパック料金設定をしているところもあります。
継続して依頼する予定はなく、スポットで相談するのであれば、1時間で5000~1万円を目安とすれば良いでしょう。
投資相談など長期にわたって継続的に相談する予定がある場合は、1回いくらではなく年単位で契約した方が安く済むこともあります。
ただし、これは基本相談料です。
先に記したようにキャッシュフロー計算書の作成などで追加費用が発生することがあります。
具体的にいくらかかるかは、事前によく確認することが必要でしょう。
なお、ファイナンシャルプランナーの相談料が異なるのは、ひとつには相談分野や経験の差ということがあります。
そのほかに、無料で相談できるところと有料になるところがあるのは、ファイナンシャルプランナーの事業形態の違いが関係していることが多いです。
■無料相談と有料相談の違い
ファイナンシャルプランナーの相談料が無料のところは、金融機関に属しているケースや金融商品を販売できる資格のある代理店を兼ねているケースがあります。
この場合、ファイナンシャルプランナーは、相談者に金融商品を販売することで金融機関から販売手数料を得ています。
そのため、相談者から料金を徴収せずに相談業務を行うことができるのです。
無料相談の最大のメリットは、気軽に利用できて出費を抑えられることでしょう。
しかし、無料相談では、ファイナンシャルプランナーは金融商品を販売しなければ利益につながりません。
そこで、商品販売に重きをおいた回答となり、相談者にとってあまり必要ではない商品を提案するなど公正な視点からみたアドバイスが行われない恐れがあります。
もちろん、無料相談であっても真摯に相談者に向き合い、適切な提案を行うファイナンシャルプランナーがほとんどです。
しかし、無料相談を利用する場合は、営業色の強い回答をされる可能性があることも頭に入れておくと良いでしょう。
なお、金融商品の販売とは関係なく、初回の相談のみ無料としているファイナンシャルプランナーもいます。
これは、気軽に相談に来てもらえるようにして集客効果を上げることが狙いです。
実は、ファイナンシャルプランナーへの相談は1回では済まないことがしばしばあります。
たとえば、初回は相談者の希望や不安、悩みをじっくりヒアリングし、2回目にヒアリング結果をもとに設計した計画書を提案し、3回目に細かなところまで修正するなど2~3回通うことが必要になるケースも多いのです。
また、1度相談して有益なアドバイスを受けた相談者は、次のライフイベントがあった際などに、再び相談に訪れる可能性が高くなります。
そのため、初回は無料にして相談者を呼び込み、2回目3回目のコンサルティングにつなげているのです。
有料相談では、金融商品の販売は行わずに相談者の悩みを受けて最適な提案を行うことで相談料を得ているケースが大半です。
そのため、特定の金融商品の紹介に偏るといったことはありません。
第三者の立場から、中立の視点で的確なアドバイスを行う可能性が高いです。
金融商品の販売で手数料を得ている無料相談のファイナンシャルプランナーの場合、保険専門だったり投資信託専門だったりと相談分野が限られているケースがあります。
しかし、有料相談では複雑な相談も専門知識を持って受け入れてくれる可能性が高いです。
■ファイナンシャルプランナー選びのポイント!
ファイナンシャルプランナーはたくさんいますので、相談しようと思ってもどこに依頼すれば良いか迷うことは多いでしょう。
有益な相談を行うためには、自分に合ったファイナンシャルプランナーを選ぶことが大切です。
料金が安い、家から近いといった点だけで選んではいけません。
選ぶ際に重視すべきポイントはいくつかありますので、把握しておきましょう。
まず、資格を取得しているかどうかということです。
先に述べたように、資格がなくてもファイナンシャルプランナーの業務を行うことはできます。
しかし、資格を持っていれば相応の知識を保有していることの証明となりますので、相談に対してより有益なアドバイスや提案を受けられる可能性が高まります。
特に、国際ライセンスであり、更新するために継続教育が義務付けられているCFPを所持しているファイナンシャルプランナーは、常に最新の知識を学んでいることになりますのでより望ましいでしょう。
ただし、上級資格さえあれば良いというものでもありません。
経験があることも大切です。
相談したい分野の実績や経験があるかどうかということも重要です。
一般的なライフプランの形成や資産運用、保険の見直しなどは、どこを選んでも、問題なく対応することはできるでしょう。
しかし、ファイナンシャルプランナーには保険や相続、資産形成など、それぞれが得意とする分野があるものです。
相談したい分野を得意とするファイナンシャルプランナーに相談すれば、より深く的確な提案、助言を受けられます。
反対に、あまり詳しくない分野の相談をしても、一般的な回答となってしまう可能性があるでしょう。
悩みに対して、相談者の立場で考えてくれるファイナンシャルプランナーかどうかも重要です。
いくら専門知識があったとしても、相談者視点から考えることができなければ、
適切な回答を期待することは難しいといえます。
たとえば、子どもの学資保険に加入するか保険には入らず貯蓄しようか迷っていて、それぞれのメリット・デメリットを知りたいとしましょう。
相談者の視点で考えられないファイナンシャルプランナーは、加入した方が安心できると一方的に考えをおしつけてくるということがあるのです。
また、相談者の年齢や世帯収入額、貯蓄状況などを総合的に判断して回答するべきところ、一般的な内容に終始するということもあります。
これでは、高い相談料を払って相談する価値はあまりないでしょう。
また、ファイナンシャルプランナーには、収入やローンの現状など極めてプライベートな内容を相談します。
投資など相談の内容によっては付き合いが長くなることも多いです。
そのため、相性が良いかどうか、信頼できるかどうかは大切な要素となります。
いくら敏腕で優秀なファイナンシャルプランナーであっても、なんとなく相性が悪いと感じるようであれば、提案を素直に聞くことは難しいでしょう。
親身になって相談にのってくれる、信頼できる人を選ぶことが大切です。
もしも、実際に相談してみてこの人とは合わないと感じたら、ほかのファイナンシャルプランナーに変えてみることも検討すると良いでしょう。
■相談の流れを知っておこう!
ファイナンシャルプランナーへの相談を検討しているなら、基本的な流れを知っていると準備しやすいでしょう。
相談までの基本的な流れとしては、まずはファイナンシャルプランナーを探し、電話や公式サイトのフォームなどから申し込み、面談に備えて必要な準備をするというものになります。
面談が始まってからは、最初にファイナンシャルプランナーが相談者の悩みや希望をじっくりとヒアリングをして、現状の確認や分析を行います。
そして、ファイナンシャルプランナーが分析の結果をもとに相談者にとって有益なプランを作成して提案し、必要に応じて改善策を実行するための手続きや専門家を紹介するといった流れになることが一般的です。
それでは、各項目について詳しく見ていきましょう。
まずは、信頼できるファイナンシャルプランナーの選定です。
インターネット上には、日本FP協会を始め、ファイナンシャルプランナーの検索が可能なサイトがいくつもあります。
地域や相談したい分野、性別など希望条件によって絞り込めますので、活用すると良いでしょう。
セミナーを開催していたり書籍を出版していたりして名前を知っているファイナンシャルプランナーがいれば、直接連絡するという方法もあります。
また、身近に相談した経験がある人がいれば、紹介してもらうのも良いでしょう。
面談で相談できる時間は限られていますので、効率的なコンサルティングができるように、しっかりと準備をしておく必要があります。
家計相談で必要になるのは、資産状況が把握できるものです。
貯金、株式、投資信託など資産がわかる資料をそろえておきましょう。
住宅ローンやカードローンを利用しているなら、その状況がわかるものも必要です。
また、具体的な収支が把握できるものも用意しておきましょう。
詳細な家計簿をつけている場合は、それを持参すると参考になります。
もしも、家計簿をつける習慣がなく、1か月のお金の流れをほとんど把握していないという場合は、おおよその額だけでも紙に書きだしてまとめておくことが大切です。
収入では、毎月の手取り額やボーナス、副収入があればその金額も書いておきます。
支出では、住宅ローンの返済額か家賃、水道光熱費、食費、教育費など項目ごとにまとめておきましょう。
面倒でも、資料や書類は準備しておく必要があります。
なぜなら、何も情報がない状態では、適切なコンサルティングを行うことはできないからです。
準備しておくものは、資料や書類などの物だけではありません。
何について相談したいのか、自分は将来的にどうしたいと考えているのかを
明確にしておくことも必要です。
限られた相談時間で、家計の改善や生命保険の見直し、老後の資金作りの方法など、あれもこれもと相談することはできません。
具体的な相談内容を決めておくことで、より効果的なアドバイスを受けられるでしょう。
たとえば、「毎月3万円の貯蓄ができるように家計のスリム化を図りたい」「マイホーム資金として5年で500万貯めたい」などです。
相談日当日は、具体的な相談内容や将来的にどうなりたいのかといった希望を伝えます。
ヒアリングには、嘘偽りなく正直に答えましょう。
ファイナンシャルプランナーは、持参した資料をもとに相談者の現状を把握して分析を行います。
初回の相談はここでいったん終わりとし、別日に2回目の相談日を設けてプランの提示や実行するために必要な支援の紹介などを行うことも多いです。
■ファイナンシャルプランナーに相談できない内容とは?
ファイナンシャルプランナーには、お金に関する幅広い悩みについて相談できます。しかし、業務独占資格を持つ者にしか行えない業務に関わることは相談できません。業務独占資格はたくさんあり、一例を挙げると弁護士や税理士、公認会計士などが当てはまります。
たとえば、ファイナンシャルプランナーに税に関わる相談をし、税制のしくみや注意点、特例の詳細に関する説明を受けることは可能です。
しかし、具体的な税金対策の提示を受けたり税務書類を作成してもらったりなどはできません。
ファイナンシャルプランナーと税理士の専門は似た部分もありますが、より具体的かつ専門的な内容であれば税理士への相談が適切です。
また、保険の募集や販売は、保険募集人として金融庁に登録されている場合にできます。
ファイナンシャルプランナーの資格しかなければ、行えません。
ただし、保険募集人として登録を受けていなくても、保険の内容を説明したり解約した方が良いといったアドバイスを行ったりすることはできます。
訴訟が絡む金銭や売買のトラブルなども、ファイナンシャルプランナーでは対応できません。
法律の一般的な解説は行えますが、個別に具体的なアドバイスが必要であれば、弁護士への相談が適切でしょう。
投資についても、ファイナンシャルプランナーができるのは資産配分の提案や金融商品の一般的な説明、経済指標の提示などにとどまります。
どの銘柄の購入が望ましいといった具体的な提案は、投資顧問業者として登録を受けている人のみ可能です。
このように、ファイナンシャルプランナーだからといって
どんなお金のことでも相談できるわけではありませんので、注意しましょう。
■目的に合わせた相談料を支払おう!
ファイナンシャルプランナーへの相談料は、どこに頼むかによって大きな差があります。
そこで、無駄な出費を防ぐためにも、
まずは自分が何を求めて相談するのかを明確にしておくことが大切です。
その上で、自分の相談したい内容に合ったファイナンシャルプランナーを選ぶと良いでしょう。
生命保険を見直したい、具体的に検討している保険商品があり詳しく知りたいという場合は、保険代理店で行っている無料相談でも必要な情報を手に入れられるでしょう。
しかし、特定の分野で専門性の高い情報を得たいという場合は、その分野に強いファイナンシャルプランナーを選ぶ必要がありますし、その場合は有料相談となることが多いでしょう。
監修:ライフプランの窓口 事務局 高橋成壽(CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士)