「子供を育てるのにどのくらいの費用がかかかるのだろう?」と気になる方は多いでしょう。今回の記事では、大学までの子育て費用について解説します。子育てに必要な費用をシミュレーションしたい方はぜひ参考にしてください。

また、子育て費用を用意する方法も解説しますので、あわせて活用してくださいね。

1.子育て費用の考え方

子育て費用とはそもそもどういった費用なのでしょうか?

子育て費用と聞くと、学校や塾など教育にかかる費用を想像する方が多いと思いますが、実はそれだけではありません。

子供が生活するのに必要な食費や生活費、医療費、習い事代、家族でのお出かけにかかる費用など、子育て費用をあげ出したらキリがないのです。

初めに、子育て費用の考え方を説明します。

(1)子育て費用は教育費とそれ以外に分けられる

子育て費用は、学費など学校に通う場合に必要になる「教育費」とそれ以外の費用に分ける事ができます。

教育費はその名の通り教育を受ける上で必要になる費用です。学校に通う際にかかる学費だけでなく、給食代や制服代なども含みます。

それ以外の費用は、例えば子供の食費や衣服代など、生活する上で必要になる費用を指します。意外と忘れがちな項目になりますので、シミュレーションをする際はこれらの費用も計算するようにしましょう。

(2)子育て費用の大部分は教育費

子育てにかかる費用の大部分は教育費です。もちろんそれ以外の支出もありますが、割合で言うと教育費が一番多くなります。

なので、子育て費用をシミュレーションする場合は、まずは教育費がどの程度かかるのかというところから考えると良いでしょう。教育費は、子供をどういった学校に通わせたいか、大学まで行くかどうか、さえわかっていればある程度計算する事ができます。

(3)教育費は公立か私立かで大きく変わる

教育費は、公立の学校に通うか私立の学校にかようかで大きく異なります。幼稚園から大学まで公立の場合と、全て私立の場合では、学費は最大2000万近く変わるという報告も出ています。

一般的には私立の学校に通う方が教育費は高くなります。なぜなら、私立の学校は学費自体が高いだけでなく、入学金や寄付金など学費以外の費用もかかるからです。

2.必要な教育費

先述したとおり、子育て費用をシミュレーションするにはまず教育費から考えた方が良いです。なのでここでは、保育園から大学までにそれぞれ必要な教育費をご紹介します。

(1)保育園にかかる費用

2019年の10月より、幼児教育の負担軽減を図るために「幼児教育・保育の無償化」が実施されています。なので、多くの家庭で保育園にかかる費用は無料になるでしょう。

とはいえ、完全無償化に対応しているのは認可施設のみです。認可外の施設を利用した場合、住民税非課程世帯に住む2歳児までは月額上限4.2万円、全ての3歳から5歳児は月額上限3.7万円までが無償になります。

さらに、同じ認可保育園であっても保育料は自治体により異なります。加えて送迎代や食事代、行事代は無償化の対象にはなりません。なので、全てが無償になるわけではないことに注意してください。

(2)幼稚園でかかる費用

幼稚園でかかる費用の目安は以下になります。ただし、あくまでも3年通うと仮定した場合の合計費用ですので、1年または2年のみ通う予定の場合は気をつけてください。

・公立の幼稚園の場合:約5万円

・私立の幼稚園の場合:約10万円

幼稚園は、幼児教育の無償化の制度のおかげで、基本的な利用料は無料です。しかし上限額が27,500円なので、私立の幼稚園だと完全に無料にはなりません。

また、無料になるのは学費に当たる部分だけです。なので給食費などの費用がかかります。

(3)小学校でかかる費用

小学校6年間でかかる費用の目安は以下になります。

・公立の小学校の場合:約60万円

・私立の小学校の場合:約570万円

公立と私立では、約8倍も費用が違います。私立の小学校に通った場合、塾などの習い事も含めると、勉強のために必要なお金は6年間で約1,000万円とも言われています。

(4)中学校でかかる費用

中学校3年間でかかる費用の目安は以下になります。

・公立の中学校の場合:約60万円

・私立の中学校の場合:約330万円

中学校からは部活動も本格化します。なので上記の費用に加え、部活にかかる費用も必要になるでしょう。学校によっては給食があるところもありますので、そのような場合は給食費もかかります。

塾などの習い事代は、小学生の時と比べると減る傾向にあるようです。しかし、公立中学校に通っている場合は高校受験があるので、上記の金額に加えて、受験勉強のための塾代などが多くかかるかもしれません。

(5)高校でかかる費用

高校3年間でかかる費用の目安は以下になります。

・公立の高校の場合:約90万円

・私立の高校の場合:約210万円

高校からは勉強が難しくなるため、学習塾などに通う費用も必要になるかもしれません。特に、大学への進学を考えるのなら塾は欠かせないでしょう。

また、子供が高校3年生で大学進学を考えている場合、塾代の他に大学の受験費用や入学金なども必要になります。特に、入学金はまとまった金額になりますので、余裕を持って準備しておいた方が良いでしょう。

(6)大学でかかる費用

大学4年間でかかる費用の目安は以下になります。大学は同じ国立や私立でも文系か理系かで教育費が大きく変わります。

・国公立文系の大学の場合:約250万円

・国公立理系の大学の場合:約300万円

・私立文系の大学の場合:約450万円

・私立理系の大学の場合:約600万円

大学の学費には授業料の他に入学金、施設利用費や管理費、実験や実習に必要な費用などが含まれています。国公立大学は学位や入学金が大体同じ金額になるように定められていますが、理系学部になると実験や実習の費用として少し多くかかるようです。

私立大学は文系と理系で学費に大きな違いがあり、理系学部の方が高くなる傾向があります。

また、私立の医学部や歯学、薬学系に進学するとさらに教育費は高くなります。仮に私立の医療系大学に6年間通うとすると、教育費だけで約2,000万から4,000万かかるとも言われています。

3.教育費以外の支出

子供を育てるのに必要な費用は教育費だけではありません。教育費以外にも様々な費用がかかります。ここでは、教育費以外に必要な項目を10個に分けて解説します。

(1)妊娠中や出産にかかる費用

子育て費用は、妊娠中にかかる費用から始まります。妊娠した場合、出産するまで病院に通わなければいけません。

正常な分娩の場合、出産に必要な平均額は約51万と言われています。出産した場合、国から補助金の出産育児一時金が42万円支給されます。なので差額を出すと、出産に必要な金額は約9万円になります。

もちろん、妊娠や出産にかかる費用は病院代だけではありません。お母さんに必要なマタニティ用品や、赤ちゃんのための衣類や小物なども必要です。

この金額は人によって異なりますが、大体30〜50万円程度かかると見込んだ方が良いでしょう。

(2)子供の食費や生活用品費

子供を育てていると、当たり前ですが食費や生活用品費がかかります。

食費は一般的に子供が成長すればするほど高くなる傾向にあります。特に子供が男の子だと、成長期の食費はかなりの金額になるでしょう。食費だけでも年に20〜30万円は必要と考えていた方が良いです。

生活用品費は、生活に必要なものを買うための費用です。食器や歯ブラシなどの生活必需品のほか、おもちゃやゲームなども含まれます。

(3)衣類や制服費

衣類にかかる費用も考えるようにしましょう。

特に、学校指定の制服は金額が高いことも多く、入学時にはまとまったお金が必要になります。

子供が小さい頃は成長が早く、シーズン毎に服を購入し直す必要が出てくるかもしれません。成長期も同様でしょう。成長が止まった後も思春期が来ると、流行りの洋服が欲しいとねだられて結局多くの服を買うことになるかもしれません。

このように考えると、子供にかかる費用の中でも衣類や制服費の総額はかなり多くなるでしょう。

(4)医療費

子供を育てる上で、医療費はかかせません。子供が成人するまでにかかる医療費の総額は平均200万円との調査結果も出ています。

子供が小さい頃は、急な発熱や体調不良で病院に行く機会が多い上に、検診や予防接種にもお金がかかります。成長した後も、病院に全く行かないということはないでしょう。

また、通院や入院が必要な病気になってしまったら、まとまったお金が必要になります。医療費は他の費用と違ってあらかじめ予想できるものではありません。毎年ある程度の金額を医療費として用意しておいた方が良いでしょう。

(5)行事関係の費用

行事関係の費用も意外とかかります。

例えば、ひな祭りや子供の日などの子供特有のイベント、学校関連だと入学式や運動会などがあります。ひな祭りはひな人形、子供の日は五月人形、小学校に入学する際は学習机やランドセルなど、意外にまとまった出費になる事があるので、見落とさないように気をつけましょう。

(6)携帯電話料金

最近では小学生のうちから携帯を持つ子も増えています。そんなときにかかるのが携帯電話料金です。

スマートフォンを購入する際にかかる機種代は、無視できない金額になるでしょう。毎月の使用料が安くなるプランなどもありますが、それでも一定額はかかるというものが多いはずです。

子供用の携帯を契約する際は毎月いくらかかるのかを考えたうえで、家計に組み込むようにしてください。

(7)旅行やレジャー代

定期的に家族で旅行やお出かけに行きたいのなら、その費用も計算しておくべきです。

旅行代は、旅行先が海外か国内か、家族が何人いるか、何泊するかによって大きく異なります。予想を立てることができる項目になるので、総額がどのくらいになるか毎年の目安額を計算しておくと良いでしょう。

レジャー代も同様に、概算で計算する事ができるはずです。かかる費用を自分で求めておくことをおすすめします。

(8)習い事にかかる費用

習い事にかかる費用は、子供のかかる費用の中でもかなりの割合を占めます。最近では複数の習い事に通う子供も増えており、毎月膨大な出費になることもあるからです。

習い事にかかる費用は、学習塾などの勉強系の習い事にかかる費用と、それ以外のピアノやスイミングなどにかかる費用に分けられます。

勉強系の習い事にかかる費用は、文部科学省によって以下のような調査結果が出ています。以下の金額は全て、年間にかかる費用です。

・幼稚園生:約1.4〜3.6万円

・小学生:約4.5〜53.9万円

・中学生:約14.9〜37.0万円

・高校生:約11.0〜29.4万円

小学生で必要な学習塾などの費用は、中学受験をするかどうかで異なるため幅があるようです。中学生や高校生も、受験の有無は人によって異なるので、やはりかかる費用には幅があるように思われます。

勉強以外の習い事に必要な費用も以下に示します。

・幼稚園生:約4.6〜14.5万円

・小学生:約12.0〜38.8万円

・中学生:約4.6〜14.3万円

・高校生:約2.5〜6.7万円

勉強以外の習い事にかかる費用は、子供の年齢が上がるにつれ少なくなるようです。これは、中学生・高校生になると部活や勉強が中心になるため、習い事をやめたり減らしたりする人が増えるのが原因でしょう。

(9)お小遣い代

子供がある程度大きくなったらお小遣いを渡すこともあるでしょう。

高校生になったら自分でアルバイトをさせることもできますが、基本的にはお小遣いを渡す家庭が多いと思います。ある調査では、高校生までの子供一人に渡すお小遣いの総額は約100万という結果も出ています。

とはいえ、お小遣いを渡すかどうか、月にいくら渡すかどうかは家庭によって異なります。自分の教育方針と照らし合わせて、月にいくら程度渡すのかを決めておくと、総額を計算しやすくなるでしょう。

(10)大学の一人暮らし代

子供が大学生になって実家を離れて暮らす場合、一人暮らしにも費用がかかります。

子供にバイトをしてもらったり奨学金を借りてもらうこともできますが、ある程度の仕送りは覚悟しておいた方が良いでしょう。奨学金なしで全て援助するのなら、家賃や生活費などで月10〜15万程度かかります。

4.子育て費用のシミュレーション方法

子育て費用をシミュレーションするには、費用の目安が必要になります。平均の費用を調べたり、自分の家庭に起きるイベントを整理すると良いでしょう。

(1)内閣府の統計結果

内閣府は、子育て費用に関する調査を定期的に行なっています。幼稚園生や小学生など子供の年齢ごと、食費や生活用品など項目ごとの平均の費用を発表しています。なので、子育て費用のシミュレーションをする際には参考になるでしょう。

しかし、気をつけてほしいのが、内閣府の調査はあくまでも統計であるということです。統計なので実生活には合わないかもしれません。あくまでも参考に留める程度にしましょう。

(2)ライフプランの設計が大切

子育てにかかる費用は、ある程度予測する事ができます。

そして、この予測をより確実なものにするためにはライフプランの設計が必要です。ライフプランを設計することで、何年後にいくら必要なのか、どのように貯金をすれば良いのかという計画を立てる事ができるからです。

なので、子育て費用をシミュレーションしたい場合は、まずライフプランの設計から始めるようにしましょう。

簡単なライフプランであれば、自分でも設計する事ができます。学校の入学など子供の年齢ごとに起きるイベントを全て書き出して、必要なお金を計算すれば、大まかな貯金計画を立てる事ができるでしょう。

とはいえ、細かいライフプランや貯金の計画を一人で考えるのは至難の業です。何十年先の予定を踏まえた計画を立てるのは難しいですし、自分に合った貯蓄法がわからない場合も多いでしょう。

しっかりとしたライフプランを立てるには、プロのファイナンシャルプランナーに相談するのが一番です。計画的に子育て費用を準備するためにも、ぜひ専門家に相談をしてみてください。

5.子育て費用を用意するコツ

子供を育てるにはかなりの費用がかかります。

とはいえ、まとまったお金を一度に支払うわけではありません。なので、子育てに必要なお金は、少しずつ準備をしておいた方が良いでしょう。

(1)財形貯蓄を利用する

貯金の方法としてポピュラーなのが財形貯蓄です。財形貯蓄は、先取り貯金にピッタリな方法です。給料が振り込まれると同時に天引きで貯金をすることもできます。

貯金をするとき、後から余った分だけ貯金をするというスタイルだと、なかなか貯まりませんし、毎月の貯金額にもばらつきが出ます。なので、確実に貯金をしたいなら先取り貯金がおすすめです。

財形貯蓄なら、一度手続きをすれば給料から自動で貯金額を天引きしてくれます。計画的に貯金をするのに向いていますし、利用して1年経てば自由に引き出すこともできるのでいざという時にも安心です。

(2)自動積み立てで貯める

財形貯蓄はあくまでも会社の制度の一つです。財形貯蓄が利用できない場合は、代わりに自動積み立てを利用すると良いでしょう。

自動積み立てはその名の通り、自動で積み立て貯金をしてくれる制度です。先取り貯金に向いているので、毎月決まった額を貯めていきたい方におすすめです。

利子などはほとんどつきませんが、とにかく堅実に、そして確実にお金を貯める方法としては最適です。

(3)児童手当を貯金する

児童手当は、0歳から15歳の子供がいる家庭に支給される手当です。

子供が3歳未満の場合は15,000円、3歳以上は10,000円の手当が毎月もらえます。3人目以降は15歳まで15,000円です。ただし、年間の所得が960万円以上の場合は5,000円に減額されます。

この手当を全て貯蓄に回すだけでも、かなりの貯金額になります。例えば1人目の子供の児童手当を全て貯蓄に回せば、15歳になる時には約200万円になります。

(4)学資保険に入る

学資保険は、子供のための資金を計画的に準備できる保険です。

毎月一定額を保険料として支払うと、決められた時期にお金がまとめて返ってきます。毎月一定額を積み立て貯金しているようなものなので、強制的に貯金をしたい方におすすめです。中には、銀行に預けるよりも利子が大きくなる商品もあり、貯蓄にも向いています。

保険という名前がついているだけあって、死亡保険金を受け取ることも可能です。保護者に万が一のことがあった時は、保険料が免除されます。保険料が免除されても、受け取ることができる合計金額は変わりません。

ただ貯蓄するだけでなく、保険としてのメリットも大きいのが学資保険の特徴でしょう。

(5)投資信託を始める

貯金と並行して投資信託を行うのもおすすめです。

投資信託は、購入者が払った資金をまとめて、投資のプロであるファンドマネージャーが運用する商品です。専門家が全ての運用をしてくれるので、個人で株や債券を買うよりもリスクが小さいうえに、貯金をするよりも大きなリターンを望むこともできます。

もちろん、投資信託のリスクはゼロではありません。しかし、毎月少額を購入したり複数の銘柄を購入することでリスクを分散することができます。

投資信託は積立購入することもできますので、子育てのための費用を貯めるのにも向いています。全ての貯金を回すのではなく、一定割合のお金を投資信託の購入に回せば、リスクを抑えてお金を増やす事もできるでしょう。

6.まとめ

今回の記事では、子育てにかかる費用の目安やお金の貯め方をご紹介しました。子供を育てるにはかなりの金額が必要になりますが、必要な額をあらかじめ把握しておけば、十分に準備できるでしょう。

大切なのは、どのくらいの金額が必要かを知っておくことです。今回の記事を参考にすれば、必要な金額をシミュレーションすることができるはずです。

しかし、子育てに必要な金額は家庭によって異なります。自分の家庭における子育て費用を細かく知りたい場合は、専門家に相談するのが一番でしょう。

ファイナンシャルプランナーはお金の専門家であり、一つ一つの家庭に合わせてシミュレーションを行ってくれます。将来に備えて、必要な費用や貯金計画について知りたい場合は、ぜひファイナンシャルプランナーに相談してみてくださいね。