寒さが一番厳しい2月の終わりごろ、税務署近辺に人の出入りが多いのに気付いたことはありませんか?
毎年2月から3月は、前年の1月1日から12月31日の収入を申告する時期。
一年に稼いだお金から経費を差し引いた「所得」について国に報告し、所得税を納めることになります。
自営業者や年金生活者の方が多いのですが、会社員でも臨時収入があったとき、住宅を購入して住宅ローンを借りた方が申告の対象となります。
「うちはサラリーマンだし関係ないわ」と思っている方、申告することによって払い過ぎた税金が戻ってくる場合があります。
ぜひ、ご自分の家庭をチェックしてみてください。

■誰でも対象になる医療費控除

病気や歯科の治療など、健康的な生活を送る上で必要とされる医療費については「必要経費」とみなし、所得税はかけないでおこう、所得税をすでに支払った人には返そう、というのが医療費控除です。
働いているのが一人なら、その方と生計が同じ家族や親族が、病院や薬局窓口で支払った医療費が対象となります。
対象期間は前年1月1日から12月31日まで、金額は以下の通りです。
実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円(*)
*その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等5%

どんな治療費が対象なの?

病院窓口で実際に支払った治療費や薬代に加えて、病院までの交通費も対象です。
一人で通院できないお子さんの場合は、そのお母さんの交通費も対象となります。
ただし、自家用車で通院した場合は対象外で、公共交通機関(電車・バス)、骨折の場合ならタクシーも治療費に加えて申請できることになっています。

歯の治療の場合

健康とは直接関係がない、より良い見栄えを目指す審美治療は、医療費控除の対象外です。
ただし、子どもの歯列矯正は、発達段階にある子どもの成長を阻害しないようにするため、年齢や矯正目的などからみて歯列矯正が必要と認められる場合は対象となります。
一方で、大人の歯列矯正は対象外というのが一般的です。
申告期間に間に合わなくても、または申告期間より前であっても、確定申告を行うことはできます。
特に、会社員や公務員などで経費がなく、保険料控除や住宅ローン控除の適用だけであれば、1月から2月の確定申告期間前の申告がお勧めです。

■申告書類の作成方法

まずはご自分の家庭の医療費を計算してみてください。
10万円を超えている場合は医療費控除が行える可能性があります。
健康保険組合から、一年間の医療費が送付される場合もあります。
次に、インターネットを利用するか、近隣の税務署に立ち寄って、申告書類をもらいましょう。
税務書類の作成を代理でできるのは税理士だけですが、慣れてしまえば自分で十分できる内容です。
インターネットに記入例がたくさん紹介されていますし、税務署には教えてくれる署員の方も大勢います。
この機会にぜひ、トライしてみましょう。

還付される金額は、年収に応じて変わってきます。
医療費が10万円を少し超えた場合は少額となりますが、それも本来は支払う必要のない税金です。
所得税が少なくなれば、住民税も減額されます。
医療費控除が可能な場合は、たとえ少額でも積極的に申告してみませんか。

監修:高橋成壽(CFP、1級ライフプ・ランニング技能士)