前回のコラム
第3回のお話は『子どもたちにつけて欲しい3つの力』について、その中の1つのお話をさせていただきます。
子育てのゴールって何だろう?
子どもたちに身につけて欲しい3つの力のお話の前に、子育てのゴールについて考えてみたいと思います。
・いい大学に入ること?
・結婚して家庭を持つこと?
・仕事をすること?
・思いやりのある子に育つこと?
それぞれのご家庭でお子さんに対する思いがあるかと思いますが、「その子が大人になったときに自分に自信を持って、その子の人生を自分の力で幸せに歩んでいけること」だと思っております。
目の前の小さなお子さんと過ごしていると、『食べる、寝る、遊ぶ』など日々の生活を送ることで必死ですよね。それに加えて共働き家庭も多いので、仕事に家事に1日はあっという間に過ぎていくでしょう。
また、子育てに関する悩みもそれぞれお持ちかと思います。ゴールを遠くにすることで、目の前の子育ての悩みも大きな視点で捉えることができます。
小さかったお子さんもいつかはご両親の元を離れていく時期がやってきます!その時にお子さんが幸せそうに自分の道を進んでくれていたら、何より嬉しいですよね?そんな誇らしい我が子の姿を思い浮かべると子育てもより楽しくなるのではないでしょうか。
長くなりましたが、日々の生活の中で「その子らしく自分の人生を幸せに歩む」ために小さいお子どもたちに、具体的にどうしたらいいのかお伝えできたらと思います。
「考える力」は自分の判断で人生を切り開いていくため
「その子がその子らしく自分の人生を歩む」とは、自信や誇りを持って生きていたり、やりたい事をやれていたり、進みたい方向へ行くことができていることだと思います。
やりたい事を実現するためには、どうしたらいいかを考え、行動できなくてはいけないですよね。そこで必要になってくる力が「考える力」です。
今回は「考える力」を更に3つに分けてみました。①好奇心 ②探究心 ③選択する力 です。
0歳児から実践できる好奇心・探究心育て!
生まれたばかりの赤ちゃんは何をするにも初めてがいっぱいです。「触ってみたい」「口に入れたい」など、やってみたい!がいっばいです。
そんな赤ちゃんのやってみたい!を叶えてあげることが好奇心、探究心を育てる第一歩。
引き出しの中身を全部出してみたり、手に触れるものなんでも口に入れたり、ティッシュを全部出してみたりと大人にとっては、場所や状況ではイタズラと思えることも赤ちゃんの視点からすると全て学びなのです。もちろん、危険なことや困ること、周りの人に迷惑をかけることは止める必要があります。その辺はしっかりと大人が見極めながら、一見イタズラと思われることも「好奇心、探究心を育てる学びの時間」と思えばこれはよしとしようと思えることも出てくるのではないでしょうか?
赤ちゃんはものを落とすだけでも楽しかったりします。0歳児の担任をしているとスプーンを何度も落とされる経験をします。何も知らないと、「もう!スプーン落として、困ったわ」となってしまうこともありますが、もしかすると赤ちゃんは「手を離したらものが落ちる」という地球の重力を堪能しているかもしれません。時にはお腹いっぱいのサインであるときもあるので、食べた量や前後の間食の様子を思い出してみてください。
スプーンは落とされると食事が中断して困るので、食事の後に落としてもいいもの(例えば100円均一などで売っている手芸用のふわふわしたボール)などを渡してあげてたくさん落とす経験をさせてあげるのもオススメです。
科学的な面からみると、「わぁ!楽しい!」「こんなの初めて!」という喜びが5歳ごろまで続いて行くと言われています。
夢中になれるものを見つけて、熱中して、やり遂げる。これを行うとドーパミンがたくさん出てきます。ドーパミンはやる気スイッチとも言われていて、「これまで経験したことのないはじめてのこと」を経験した時に溢れ出します。それを繰り返すことで、意欲が生まれて、積極的にやりたい!という気持ちがどんどん育って行きます。
第二回の時にもお話したように、子どもたちは自分の学びの時期を知っています。やりたい!の時期にたくさんやらせてあげて、好奇心、探究心を育ててあげてください。
0歳児からできる選択する力の育て方
人生を歩んで行く中で選択の連続です。どこの学校へ行こうか、なんの部活に入ろうか、どんな仕事を選んで行くかなど大人になるまでに大きな選択を迫られることでしょう。そんな時自分で決断できる力が大事になってきます。
わたし自身はその日のランチメニューもギリギリまで悩んでしまうほど選ぶことが苦手です。小さい頃の口癖は「どっちでもいい」でした。今でも優柔不断、決断が遅いと言われ決めることは苦手な方です。そんな風にならないためにも、「自分の意志で決める習慣づけ」をオススメしています。
いきなり大きな決断を迫るより、日々の生活の中で自分で選択する機会をどんどん与えてあげましょう!例えば、その日着る服なども「赤いトレーナーと青のトレーナーどっちがいい?」と聞いてみたり、その日のおやつも「バナナとりんごあるけどどっちがいい?」と聞いてみたり小さいうちは2択から始めるてもいいかと思います。
0歳児のモンテッソーリクラスでも実践しており、歩けない時期のお子さんでも「こっちとこっちどっちを使いたい?」と目の前に教具を出すと少しの間考えて興味を持った方に手を伸ばします。5、6ヶ月の赤ちゃんの時期から選択することができるなんてビックリしますよね。
そんな風に些細な選択の積み重ねが、選択する力を育てて決断力や判断力、自分のことをより深く知ることに繋がっていきます。
「その子がその子らしく自分の人生を歩む」と聞くとすごく漠然としたことのように感じますが、上記のような実践だったら日々の子育てでできることもあるのではないでしょうか? また第4回で『子どもたちにつけて欲しい3つの力』の2つ目のご紹介をさせていただきたいと思います。
執筆:川端愛未(保育士、モンテッソーリ教師)