一家の大黒柱に万一のことがあった場合、残された遺族に支給されるのが「遺族年金」です。

遺族年金は、亡くなった方の働き方(自営業や会社員等)や家族構成によっても支給額が異なります。

まずは、遺族年金のしくみをおさらいしましょう。

目次

遺族年金のしくみを理解しよう

遺族年金は、

  • ・遺族基礎年金
  • ・遺族厚生年金

にわけられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

遺族基礎年金

支給要件

被保険者または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。

(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が加入期間の3分の2以上あること)

対象者

死亡した者によって生計を維持されていた

  • ・子のある配偶者
  • ・子(18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子)

遺族厚生年金

支給要件

1.被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき。

(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること)

2.老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。

対象者

死亡した者によって生計を維持されていた

  • ・妻
  • ・子、孫
  • ・55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り遺族厚生年金も合わせて受給できる)

遺族基礎年金の方が、支給される対象者の範囲が狭く、18歳未満の子供がいる妻もしくは夫にしか年金が支給されません。

遺族年金の支給額は、家族構成で異なる

遺族年金の詳細をおさらいした所で、実際に遺族年金がいくらもらえるのか、家族構成別にシミュレーションしてみましょう。

妻は専業主婦、子供が1人のケース

前提条件

会社員の夫在職時に死亡
老齢厚生年金額40万円 20年加入
専業主婦
子供18歳未満 1人

遺族基礎年金

妻 779,300円 / 子 224,300円(定額)

遺族厚生年金

【計算式】
  • 「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」÷加入月数×300か月(25年)×3/4
  • 40万円÷240か月(20年)×300か月(25年)×3/4=375,000円

夫死亡時から子供が18歳になるまで、毎年1,378,600円(779,300円+224,300円+375,000円)遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。

その後、子供が18歳になった時点で遺族基礎年金は終了。

その時点で妻が40歳を超えていたら妻が65歳になるまで960,100円(遺族厚生年金375,000円+中高齢寡婦加算585,100円)が支給されます。

65歳以降は自分の老齢基礎年金+遺族厚生年金を受給できます。(妻が老齢厚生年金を受給できる場合は、遺族厚生年金は停止します)

妻は専業主婦、子供がいないケース

前提条件

会社員の夫在職時に死亡
老齢厚生年金額40万円 20年加入
専業主婦
子供なし

遺族基礎年金

支給なし

遺族厚生年金

【計算式】
  • 「これまでの加入実績に応じた老齢厚生年金額」÷加入月数×300か月(25年)×3/4
  • 老齢厚生年金額が40万円で20年加入していたら……
  • 40万円÷240か月(20年)×300か月(25年)×3/4=375,000円

夫死亡時から毎年375,000円(遺族厚生年金分のみ)支給されます。

夫死亡時に妻が40歳を超えていたら、妻が65歳になるまで毎年960,100円(遺族厚生年金375,000円+中高齢寡婦加算585,100円)が支給されます。

65歳以降は自分の老齢基礎年金+遺族厚生年金を受給できます。(妻が老齢厚生年金を受給できる場合は、遺族厚生年金は停止します)

まとめ

遺族年金の詳細をおさらいし、いくら受給できるのかをシミュレーションしてみました。

遺族年金は、対象者の仕事、家族構成や年齢によっても支給額が異なります。

ご自分のケースを詳しく確認したい方は、年金事務所やファイナンシャルプランナーにご相談ください。