住宅ローンコンサルティング会社MFSの調査によりますと、新型コロナウィルス感染拡大により、首都圏の住宅購入希望者のうち一軒家を希望する人が18%増加したとのことです。
不安定な状況が続く中、将来の住宅に安心感を求める人が増えているようです。
とはいえ、やはり一軒家には多額の資金がかかりますので、一軒家を購入する場合どれくらいの金額がかかるのか、今の家計で物件を購入できるのか?等不安を感じる方も多いかと思います。
そこで、今回は、これから一軒家の購入を検討している方に向け、一軒家の購入について詳しくご紹介していきたいと思います。
目次
- 1.一軒家はいくらで購入できる?
- 2.一軒家の購入価格は頭金と住宅ローン借入額で決まる
- 3.一軒家の購入に必要な費用の内訳
- 4.一軒家を購入するベストタイミングとは?
- 5.一軒家を上手に購入するポイント
- 6.一軒家の購入は新築と中古のどちらを選ぶべき?
- 7.一軒家を購入するときの注意点
- 8.まとめ
一軒家はいくらで購入できる?
一軒家は、いくら位で購入できるのでしょうか?購入金額の目安をご紹介します。
新築の全国平均は3,4000万円〜4,500万円ほど
住宅支援機構が調査した「2019年度のフラット35利用者調査」によりますと、
- ・土地付注文住宅の全国平均:4,257万円
- ・建売住宅の所用平均:3,494万円
- ・新築戸建の購入金額の目安:3,400万円〜4,500万円程度
となっています。一概にはいえませんが首都圏ほど高く、そのほかの地域は比較的安くなる傾向があります。一方、中古戸建の場合は、
- ・中古戸建の全国平均:2,574万円
このように2,000万円台で購入できますので、新築にこだわらない方は、中古戸建を購入し、自分好みにリフォームするのも楽しいと思います。
新築でも1,000万円台から購入可能!
「ローコスト住宅」と呼ばれる注文住宅なら1,000万円台で購入が可能になります。(土地代は別途)
費用が安くできる理由は、広告費、人件費、材料費等を徹底的にカットしているから。 設備や仕様を全て選べるフルオーダーではなく、限られた選択肢から選べるセミオーダーにすることでコスト削減を図っています。
もちろんフルオーダーよりも選択肢が狭まるなど多少のデメリットはありそうですが、建築費用の安さは魅力的ですよね。
上限は数億円以上
上を見たらキリがありませんが、住宅購入にリミットはなく、1億円以上の高級住宅を建てることも可能です。当然の事ながら、予算が許せばデザインや機能にこだわることもできます。
先ほどご紹介したローコスト住宅では、限られた選択肢から選ぶことが多いようですが、4,000万円台の注文住宅ならさまざまなプランが実現可能になります。予算や希望も含めて、どのような住宅にしたいか検討しましょう。
一軒家の購入価格は頭金と住宅ローン借入額で決まる
一軒家を購入するには、自分の経済力にあわせた値段で購入することが必要です。一軒家の購入金額は、頭金と住宅ローンの借入金額によって決まりますので、詳しく解説していきたいと思います。
頭金は物件購入価格の2割を用意しよう
物件を購入する際、物件購入価格の2割程度の頭金を用意することが理想です。
たとえば、3,000万円の物件の場合、3,000万円の2割、つまり600万円程度の頭金を用意することをオススメします。
頭金なしで購入できる物件もありますが、その分毎月の返済額が増加します。そのため、住宅購入後に家族が増えたり子供の教育費が増加した際に、住宅ローンの返済がきつくなることも。
頭金が多ければトータルの借入額を減らせるため、早い段階で資産形成し、2割程度の頭金を用意できると安心です。
住宅ローンは年収によって異なる
一般的に住宅ローンの年間返済額は、年収の25%以内が安全圏と言われています。
住宅ローンは年収によって異なり、住宅ローンを組む場合は、返済負担率(=年間の返済額÷年収)25%以内を目安としています。
つまり、税込年収400万円の場合は、借入額目安は2,710万円、年収600万円なら、4,080万円前後の借入額が目安となります。(金利1.5%35年ローンの場合)
こちらは、あくまで目安になりますので年収や住宅ローンの組み方によって上限金額は変わります。
一軒家の購入に必要な費用の内訳
一軒家の購入には頭金以外にもさまざまな費用が必要になりますので、物件購入時の諸費用についてご説明したいと思います。
物件価格の6%〜13%が目安
一軒家の購入に必要な諸費用は、おおよそ物件価格の6〜13%が目安になります。
たとえば、3,000万円の物件を購入する際には、頭金以外に180万円~390万円の諸費用がかかります。
つまり、頭金を2割入れるとしたら3,000万円の2割の600万円の頭金があると望ましく、それに加えて180万円~390万円の諸経費がかかるので合計780万円~990万円の現金を用意する必要があるということです。
諸費用の内訳としては、以下のものがかかってきます。
- ・申込証拠金
- ・手付金
- ・固定資産税
- ・都市計画税
- ・不動産取得税
- ・印紙税
- ・登記費用等
物件購入の諸費用については不動産会社で見積もりしてもらえますので、早めにお願いしておきましょう。
そのほかの費用は?
無事に物件を購入したあとの事も頭に入れておく必要があります。 たとえば、
- ・引っ越し費用
- ・新居の家具購入費用
- ・10年ごとを目安に外壁や屋根の塗装、エアコンや水回りの修繕費
などがかかってきます。マンションは毎月修繕費を支払う必要がありますが、一軒家は修繕費の管理も自分でする必要がありますので、計画的に積み立てていきましょう。
一軒家を購入するベストタイミングとは?
一軒家を購入する際は、タイミングが重要になります。どのようなタイミングで住宅購入すれば良いのかをご紹介していきましょう。
ライフスタイルが大きく変化する時期
一般的には、30代で一軒家を購入する方が最も多く、40代以降は減少していきます。
一軒家を購入するタイミングに正解はありませんが、結婚、出産、子供の小学校入学、転勤などライフスタイルが大きく変化する時期を選ぶ世帯が多いです。
ライフスタイルの変化や資金的に目途が立った時など、自分のライフステージにおいて最適なタイミングを判断することが重要です。
一軒家を上手に購入するポイント
一軒家を上手に購入するポイントがいくつかありますので、ご紹介したいと思います。
住宅ローンは資金計画を念入りに立てる
ローン計画は念入りにたて、絶対に返せる金額に設定しましょう。
住宅ローンが組めるからといって無理な返済計画にすると、ライフプランが変化した際にローン返済が難しくなってしまうことも。余裕を持った返済計画を立てましょう。
また、早めの完済を視野に入れることも大切です。多くの金融機関が80歳を完済時期に設定しており、45歳を過ぎると35年ローンが組みにくくなるので注意が必要です。
退職前にローン完済できる返済計画を目指しましょう。
頭金を増やそう
頭金を増やすメリットは、主に2つ。頭金を増やすと「月々の返済額」と「ローンの総返済額」が減ります。 たとえば、3,000万円の物件について、
- ・頭金0円で購入する
- ・頭金500万円入れて購入する
この2つのケースで比較してみましょう。
頭金0円の毎月返済額は、84,686円。一方、500万円の頭金を入れると、70,571円です。毎月約14,000円、年額約17万円の返済額の違いが生まれます。
また、頭金の違いは、総返済額ではさらに大きな差を生みます。
3,000万円の物件を頭金0円で購入した場合のローン総返済額は、35,567,998円。頭金500万円の場合は、29,639,998円。その差は、5,928,000円。ここから頭金500万円を差し引くと、928,000円。
つまり、頭金0円と頭金500万円を入れて購入する場合を比較すると、頭金0円の場合は、928,000円もの利息を余計に支払わなければいけないという事です。
余計な利息を支払わないためにもできるだけ頭金を増やしてから購入しましょう。
※物件価格3,000万円、世帯年収400万円、金利1%35年ローンの場合
繰り上げ返済を利用しよう
頭金が十分に用意できない場合は、物件購入後に「繰り上げ返済」することも可能です。
繰り上げ返済とは、月々の返済額とは別に元金の一部を返済することです。元金を減らすことにより、それにかかる利息も減るので、結果的に総返済額を減らす効果があります。
一軒家の購入は新築と中古のどちらを選ぶべき?
物件を購入するときに「新築と中古」「マンションと一戸建て」で迷う人が多いかと思います。それぞれメリット・デメリットがありますのでご説明したいと思います。
新築と中古のメリット・デメリット
新築のメリット
- ・建物、設備が全て新品
- ・しばらくの間、修繕費用があまりかからない
- ・要件を満たせば、登録免許税や固定資産税等の税制優遇がある
新築のデメリット
- ・新築が販売される場所は限られているので、住みたいエリアに建設されるかわからない
- ・広告費等の販売経費が物件価格に上乗せされているので、割高
- ・建物が完成する前に販売される事も多く、実際の部屋を見てから購入できるとは限らない
中古のメリット
- ・新築よりも希望するエリアで希望の物件がみつかる可能性が高い
- ・販売経費がかからないので、割安
- ・立地や共用設備が気に入れば、内装は自分の好きなようにリフォームできる
中古のデメリット
- ・すぐに修繕費用がかかる可能性がある
- ・不動産会社に支払う仲介手数料がかかるため、新築より諸費用が高い
新築、中古にはそれぞれメリット・デメリットがあります。予算や住みたいエリアも含め、希望に合う物件を探しましょう。
一軒家とマンションのメリット・デメリット
一軒家のメリット
- ・管理費や駐車場代がかからない
- ・マンションより広い間取りが可能
- ・子供が騒いでも階下へ気を使わなくても済む
一軒家のデメリット
- ・建物や庭等を自分で手入れをする必要がある
- ・修繕費を計画的に自分で用意しなければいけない
- ・マンションよりも階段の移動が多い
マンションのメリット
- ・管理費等を支払えば建物の管理は管理会社がやってくれる
- ・駅近など好立地とされる場所に購入すれば資産性が高い
- ・鉄筋コンクリートなど、素材によっては木造一軒家よりも長持ちする
マンションのデメリット
- ・音漏れや騒音など一軒家より近所トラブルになる可能性が多い
- ・管理費、修繕費、駐車場代などコストがかかる
- ・管理規約により色々な制限がある
一軒家とマンションのメリット・デメリットをご紹介しました。それぞれ購入する際の優先順位や価値によって選ぶことをオススメします。
一軒家を購入するときの注意点
一軒家を購入する際は、いくつかの注意点がありますのでご説明したいと思います。
将来の出費を考慮する
住宅ローンの計画を立てる際は将来の出費を考慮しましょう。たとえば、
- ・将来の子供の教育費
- ・車の購入費
- ・親の介護費
などある程度予測がつくものについては、物件購入前にきちんとライフプランを立て、余裕をもった住宅ローンを組んでおくと安心です。
維持費がかかる
物件は、買っておしまいではありません。 購入後も、
- ・固定資産税
- ・都市計画税
- ・物件の修繕費
など維持費がかかるという事をきちんと把握し、ランニングコストを含めたローン計画を立てましょう。
エリアをリサーチする
物件購入する際は、
- ・学校や職場へのアクセス
- ・病院
- ・公共施設
などエリアの住みやすさを確認しましょう。 内装は後からいくらでもリフォームできますが、立地は変えられません。いくら人気物件だといわれても衝動買いせず、平日と休日の周辺環境の変化も確認しておくと安心です。
まとめ
今回は、一軒家を購入する際の費用、メリット・デメリット、注意点などについてご紹介しました。多くの人にとって、一生に一番大きなお買い物の「住宅購入」。
失敗したくないからこそ、「今の家計で住宅を購入できるのか?」「購入しても今後のライフプランの変化に対応できるのか?」等お悩みは色々あると思います。
ライフプランの窓口では、経験豊富なFPがお客様ごとに専属で担当し、お金のお悩みを一緒に解決させて頂きます。相談料は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
執筆:山崎美紗
ファイナンシャルプランナーCFP®
FP1級技能士、チャイルドカウンセラー