「住宅ローンを組むときに上場企業勤めだと優遇される?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。実は住宅ローンは、働いている会社によって金利などの優遇されることがあります。今回の記事では、上場企業勤めでの住宅ローンの審査や金利について解説します。

1.上場企業勤めだと住宅ローンの審査に通りやすい

「上場勤めだと住宅ローンの審査に通りやすい」という噂を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?

実は、この噂は事実です。上場企業勤めだと住宅ローンの審査に通りやすくなります。

(1)審査では確実に返済できるかどうかを確認している

住宅ローンの審査では、借主が確実に返済できるかどうかを確認しています。

住宅ローンは何十年にもわたる長期の借入になります。貸し出す側からすると、長期間にわたってきちんと返済し続けてもらえるかどうか、いわば「安定」を重視せざるを得ないのです。

なので、勤務先が安定しているかは、審査において非常に大きな判断基準になります。

(2)勤務先は重要視されやすい

審査では、勤務先がかなり重視されます。

上場企業は、会社の規模が大きく、一般の会社よりも倒産し難いとされています。さらにリストラなどをされる可能性も低いでしょう。なので、上場企業勤めであれば、継続して安定した収入が見込め、返済も問題なく行われるとみなされます。

中小企業に勤務していると、今は安定していても、ローンを返済する数十年の間に倒産してしまうかもしれません。そういったリスクがあると、確実に返済できるとは断言できないと判定されるのです。

また、同じ理由で公務員も審査に通りやすくなります。公務員は、国または地方自治体に属しているのでもちろん倒産の心配がありませんし、給料の変動や離職の可能性も低いからです。

(3)融資時や返済時の年齢も重要

年齢は勤務先や年収よりも重視される条件として考えられることもあります。

住宅ローンは長期間にわたって借りるものなので、特に、完済した時の年齢を重視します。現在、一般的な企業の定年は65歳です。なので、遅くても65歳までにローンを返済したいのなら、35年の住宅ローンを組む場合は30歳まで、30年のローンであっても35歳までには借り入れを行わなければなりません。

基本的に、定年後に年金暮らしをしながら住宅ローンを返すのは難しいという扱いになります。

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2.上場企業勤めだと金利の優遇が受けられることも

上場企業勤めだと、審査に通りやすいだけでなく金利の優遇が受けられる可能性もあります。

(1)返済が確実と判断されれば金利が優遇される

金利の優遇を受けられる条件は様々ですが、勤めている会社の規模が大きいと有利かもしれません。

上場企業に勤めていれば、リストラの可能性も低いですし給料が急に減額されることもないでしょう。金融機関は、安定した収入があれば返済も確実であると判断します。

確実に返済してくれるのであれば、優遇の対象になりやすいと言えます。

さらに年収が高ければ、金利面でより優遇を受けられます。年収の高さは返済能力に直結するため、より返済が確実と判断されるからです。

(2)金融機関によって優遇の有無は異なる

とはいえ、全ての金融機関で金利の優遇が行われるわけではありません。勤務先や年収で金利を変えることはない、というところもあります。

さらに、優遇があったとしても、どの程度優遇されるかは金融機関によって異なります。自分が上場企業勤めであり優遇を受けられる可能性があるのであれば、複数の金融機関に問い合わせてみるのをお勧めします。

3.ただし上場企業勤めでも審査に落ちる可能性がある

上場企業勤めだと、審査や金利面で有利であるという話をしてきました。しかし、上場企業勤めでも審査に落ちることもあります。

(1)年収だけで審査に通るわけではない

審査の基準は年収や勤務先だけではありません。前述した通り年齢も非常に重要な要素になります。それ以外にも借入の有無や個人信用情報、勤続年数、転職の有無も確認されますので、それらに問題があれば審査に落とされることもあります。

(2)現在借り入れがあるかどうか

いくら大企業に勤めていても、車のローンやクレジットカード、消費者金融の借り入れがたくさんあれば、審査に落ちてしまうかもしれません。

審査を申請する前に、現在どれくらい借り入れがあるかを確認するようにしましょう。借入額が多いのなら、まとめて返済してから審査を申請するようにしてください。

(3)個人信用情報に傷がついていないか

個人信用情報は、その人が今までに行った借入に関する情報です。クレジットカードやローンを利用した履歴が全て載っています。

過去の借入の中に、延滞や返済できていないものがあると、この個人信用情報に記録されてしまいます。この状態を「信用情報に傷がつく」と表現します。

住宅ローンの審査は、信用が重要です。なので、個人信用情報に傷がついていると、例えその傷が些細なものであったとしても審査に通らなくなってしまうのです。

(4)勤続年数が申込要件になることも

多くの金融機関が住宅ローンの貸し出し条件に「同じ会社に半年または1年以上勤務していること」というものをあげています。

これは、長く勤めているほどその企業で重要な役職につき、年収が上がるとみなされるのが原因です。勤務期間が短いと、将来が不透明であるとして審査に通りにくくなります。

新卒の時点で住宅ローンを組む人は少ないと思いますが、転職をしたばかりの場合は気をつけるようにしましょう。仮に年収が転職前と変わらない、むしろ増えていたとしても、転職後1年以内であれば審査に通らない可能性が高いです。

(5)転職が多い場合も気をつけよう

転職回数が多いと、審査に通りにくくなります。仮に今の勤め先が大企業でも、そのまま定着できるかどうかは誰にもわからないからです。再度転職して中小企業勤めになる可能性があるとも考えられます。

なので転職した後に住宅の購入を考えているのなら、1年以上勤務してから審査を受けるようにしましょう。

4.上場企業勤めでなくても審査に通りたい時のポイント

ここまで、上場企業勤めだと審査に通りやすくなったり金利の優遇があることを解説しました。それでは、上場企業に勤めていないと、審査には通りにくくなるのでしょうか?

結論から言うと、上場企業勤めでなくても審査に通りやすくする方法はあります。審査は、勤務先のみで判断されるわけではありません。勤務先以外にも、頭金の額や借入の有無も重視されるからです。

今回の記事の最後に、勤め先に関係なく審査に通りやすくする方法を3つご紹介します。

(1)①頭金をなるべく多く用意する

頭金の額を多くすれば、住宅ローンで借り入れる額は少なくなります。借りる額が少なくなれば、比較的審査に通りやすくなるはずです。

金融機関によっては、借入額が住宅価格の9割以上だと審査が厳しくなるところもあります。審査に通っても金利面の条件が悪くなる事もあるようです。なので、最低でも物件価格の1割以上の頭金は用意しておきたいところです。

さらに、審査では収入に対する返済比率が重視されます。収入が低いけど住宅ローンを組みたいのなら、頭金の割合を大きくして、借りる額をなるべく少なくするのが良いでしょう。

また、頭金の額が多いと、住宅を購入するためにまとまった金額を貯金したという姿勢が評価されることもあります。計画を立ててお金を貯められることは、審査において好印象を与えるようです。

(2)②借り入れがあるなら全て返済する

今現在借り入れがあるのなら、審査前になるべく全て返済するようにしましょう。また個人信用情報に傷があるか不安な方は、一度確認することをお勧めします。

住宅ローンは人生でもトップクラスの借入額になります。なので、今までに借りた履歴はかなり詳しくチェックされます。延滞や滞納も調査されるので、傷があればそれだけで審査に落ちることもあるでしょう。

(3)③上場企業に転職する

いっそのこと、上場企業に転職するという手もあるでしょう。転職後すぐは審査に通りにくいですが、勤続年数が1年を超えると通るようになります。

上場企業に勤務すれば年収も上がるでしょうし、住宅ローンを借りる上では様々な面で有利に働きます。どうしても審査に通りたければ、転職も検討してみてください。

(4)どうしても通らない時はフラット35を活用

どうしても審査に通らないのなら、フラット35を利用することをお勧めします。

フラット35は住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して融資を行なっている住宅ローンです。

通常の金融機関が行っている住宅ローンとは審査基準が異なります。借主の勤務先や年収ではなく、購入する住宅が良い住宅なのかどうかが重視されます。なので、購入する住宅が環境に優しいものであれば、勤務先が不安定であったり収入や年齢に不安があっても、ローンを組める可能性が高くなるのです。

フラット35は、ローンを組んでいる35年間、ずっと金利が変わらない固定金利です。なので、市場金利に振り回されずローンを組みたい方にもフラット35はおすすめです。

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5.まとめ

今回の記事では、上場企業に勤めている場合の住宅ローンの審査について解説しました。実際に、上場企業勤めだと収入が安定していると考えられるため、審査に通りやすくなります。

とはいえ、住宅ローンの審査はシビアであり、勤務先だけで審査に通過することはできません。年収や年齢、さらには借入の有無も非常に重視されます。勤め先が上場企業だからといって安心せず、自分が審査に通過できるかどうかを確認してから審査を受けるようにしましょう。

住宅の購入は人生の中でもトップクラスの大きな買い物です。なので、住宅ローンも借入額もかなりの額になるでしょう。

住宅を買う際は、事前に返済計画を立てるようにしてください。確実に返済するためには、住宅ローンだけでなく、全てのお金に関する見通しを立てることが大切です。

ファイナンシャルプランナーはお金のプロであり、住宅ローンを含めた全てのお金に関する相談に乗ってくれます。ライフプランの窓口では、無料でファイナンシャルプランナーに相談することができます。住宅ローンを考えている方は、ファイナンシャルプランナーへの相談も検討してみてはいかがでしょうか。

記事監修者:高橋成壽(CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学卒業後、金融系のキャリアを経て2007年に独立系FPオフィスを設立。過去参加者1万人を超えるセミナーを実施。執筆、講演、相談まで幅広く相談者ニーズに対応している。ライフプランの窓口のサービス責任者です。)