ライフプランの窓口で最も多い相談のきっかけに出産があります。
人生における一大イベントであり女性にとっては身体的なリスクもあります。
妊娠期における体調不良や、出産時の以上による手術、産後のうつ状態。
環境としては仕事復帰を希望しながらも、保育園に入れず待機児童となること、仕事と育児の両立に伴う金銭的な支出、夫婦での価値観の相違や働き方の変化。1人で考えるにしても、夫婦で考えるにしても客観的な視点を得ることができません。
進行役、コーチ役が必要な難しい問題です。
では、どうすればよいのでしょうか。

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■妊娠期間中にやるべきこと

1.夫婦の収入と支出を把握しておく

あなたと配偶者の収入と支出を確認しましょう。
夫婦間でお互いの収入と支出を知らないということはよくあることです。
・夫婦ともお金が貯まっていないケース
・片方がお金を貯めていて、相手方はお金が貯まっていないケース
・結婚前に貯めた資金として相手方には婚前の貯蓄額は未開示のケース
色々あります。

しかし、今の時代は片働きでは家計が回らないことが一般的です。
従って、双方の収入を把握して着実にお金を貯める必要があります。
収入以上に支出額を把握していないケースは多いのですが、出費がわからなければお金を貯めることはできません。
比較的多いパターンは、毎月お金を貯めているが、収支は赤字。
ボーナスで補てんしている家庭です。
貯めたつもりが貯まっていない。
むしろマイナスになっている。そんなケースはキリがないほどたくさんあります。

2.妊娠に伴う体の異常で入院した場合に保険金が受け取れるか確認する

流産、早産、妊娠中毒症、妊娠糖尿病など、妊婦の体には妊娠すること以外にも、さまざま負担がかかります。
妊娠が判明してから保険を気にされる方が多いのですが、保険という商品は、リスクのない時に加入すべきで、妊娠が判明した時点で、その妊娠に関する保険金は受け取れない契約となることが一般的です。
妊娠したかもしれない?と考える前に、保険の加入や見直しを検討されるとよいでしょう。

3.今の住まいで保育園の預け先が確保できるか確認する

出産後も引っ越しをしないのであれば、今の居住地の保育園情報を取得しておきましょう。
自治体によって待機児童の数や保育園の数は異なります。
保育園に預けることは現実的なのか、自治体を移る必要があるのか、確認しましょう。

妊娠中の引っ越し準備は大変ですが、出産後の引っ越しも大変です。
理想は新生活のタイミングで、将来の保育園事情も見据えておくことですが、結婚のタイミングで、保育園を検討するのは難しいかもしれません。

4.小学校に上がるタイミングで学区について夫婦の希望に沿えるか確認する

妊娠中に考えるのは難しい内容ですが、居住地の学区についても気にしておいて損はありません。
子どもがいる場合は、塾に問い合わせると学区の話を教えてくれる場合もありますが、塾に通う子供がいない場合は、塾に問い合わせるのも難しいかもしれません。
教育委員会に問い合わせたり、学区に関する口コミなどを調べておくと良いでしょう。
環境のよくない地域で子育てをしたいと考える親はいないでしょうから、学区情報は考えておきたいところです。

5.緊急の預け先があるか確認する

妊娠中にどこに住むか、出産後にどこに住むか、どんな可能性や危険性があるのかを考えておきましょう。
例えば、保育園に預けられた場合でも、発熱で迎えが必要な事や、インフルエンザなど感染力の強いウイルス性疾患で、預けることができない場合もあります。
夫婦だけでは子どものお世話ができないときに、家族でも、友達でも、ファミリーサポートセンターなど、何でもいいですから、複数の便り先を確保しておきましょう。

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■出産から育児休業期間中にやるべきこと

1.育児休業給付金を貯める

出産までに退職をしていなければ、育児休業給付金が支払われます。
目安として給料の50%程度が受け取れます。
この給付金は、手を付けずに貯めておいてください。
育児休業期間中に貯め続ければ、大学など子どもの高等教育の資金のかなりの部分が賄えるでしょう。
児童手当と合算すれば大学資金は全額確保できる程度は、お金を貯めることができるでしょう。

2.家計簿アプリで家計の把握

出産直後に産院では時間ができるでしょう。
その間に、情報収集の他に家計管理も始めましょう。

家計簿アプリを使えば、銀行の入出金、クレジットカードの支払情報まで、全てのお金の管理を一度の設定で済ませることができます。
乳幼児を育てている間に家計簿をつける余裕はないでしょうから、家計簿アプリというテクノロジーを活用してください。
マネーフォワードやZaimなどいろいろな家計簿アプリがあります。
レシートの写真を家計簿化する機能から、金融機関連動まで、アプリによって提供する機能が異なります。

3.子どもの教育資金を貯め始める

出産とともに、児童手当の支給が始まります。
一般的な世帯では総額で200万円程度が支給されます。
これと育児休業給付金を全額貯められれば、毎月の教育資金の積立は少なくて済むでしょう。
大学進学では500~600万円の資金が必要です。
親が奨学金返済に苦労するケースも多いのですが、子どもに奨学金の返済負担が残らない様に、事前に準備をしておきましょう。

4.子供の誕生に合わせて保険の加入を見直す

子どもが誕生したら生命保険の加入を検討しましょう。
子どもがいない間は、積立型の生命保険に加入している方が多いようですが、掛け捨てタイプの定期保険と呼ばれるタイプの生命保険を遺族に対する備えとして加入することが一般的です。
保険に加入してからライフプラン相談にお越しになる方がいらっしゃいますが、
順番が誤っています。
ライフプランを考えてから、今後の生活に合わせて保険を検討するべきです。
ライフプランを考えないと、無茶な積立プランに加入しているケースが散見されます。
保険ショップの前に、ライフプラン設計が鉄則です。

5.マイホームは賃貸か持家か検討する

東名阪など、大都市圏にお住まいの方は、家賃も高額になりがちです。
100歳まで生きると仮定した場合、60~70年間家賃を支払い続けることができるのか、住宅購入はどのタイミングですべきかを確認しましょう。
40代になってからの住宅購入は銀行の審査が厳しくなり、返済期間も短くなるため、支払いが苦しくなるはずです。
いつかはマイホームではなく、早目に予算を含めて検討しておきましょう。
10年以上の相談経験の中で、タイミングを逃していただきたくないのが、マイホーム購入です。
社員寮、公務員尞、社宅など優遇されているケースもありますが、優遇が切れるタイミングでの住宅購入はほとんどの方が難しい判断を迫られます。
社員や職員のための制度が、逆に将来を苦しくしてしまう。
そうならないように事前に準備をしてください。

執筆:高橋成壽(CFP、1級ファイナンシャルプランニング技能士)

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