妊娠出産に関する費用は、健康保険が
適用されないため、出産を希望する場合は事前に
ある程度の金額を用意しておく必要があります。

それでは、出産するまでの検査費用や出産費用は
総額でいくら位かかるのしょうか?
<出産までの費用はいくらかかる?>
■妊婦健診費

妊娠が確定次第、お住まいの自治体から母子手帳と
妊婦健診費の補助券が配布されます。

その後、2週間に1回もしくは4週間に1回
(妊娠の週数により異なる)母子の状態を
確認するため、定期的に通院する事になります。

医療機関によっても異なりますが、
妊婦健診費用は、妊婦健診の補助券を利用しても、
さらに健診1回につき約3,000円~5,000円の
自己負担がかかります。
検査によっては1万円を超えることも。

国が推奨している妊婦健診回数は15~16回。
助成金額や内容は自治体によって異なりますが、
自己負担の平均額は、5万7604円と
なっています。
(たまひよ調べ)

先述のとおり、妊娠出産に関する費用は、原則
健康保険が適用されませんが、つわり、切迫流産、
早産、帝王切開等、医療措置が必要な場合には
健康保険が適用されます。

■新型 出生前診断(NIPT)

出生前診断とは、妊娠中に胎児の染色体や
遺伝子異常を調べることができる検査になります。

妊婦の血中ホルモンの検査と超音波検査を
組み合わせた「超音波 マーカー検査」は、
比較的簡単に胎児の異常を調べられるものの、
精度が80~85%とあまり高くないのが
ネックです。

また、精度がほぼ100%の「羊水検査」は、
その精度の高さから、遺伝子異常の確定診断に
使われます。
しかしながら、妊婦のお腹に針を刺し、羊水を
抜き取って検査するために、約300人に1人の
確率で流産するリスクがあります。

一方で、2011年からアメリカで始まった
「新型 出生前診断」。

妊婦の血液検査だけで胎児にダウン症等などが
あるかどうかを調べられ、精度も99%と信頼性も
高いのが特徴です。

日本では、2013年4月から2017年9月の
5年間で約5万組の夫婦を対象に臨床実験を行い
それ以降は、一般診療として新型 出生前診断が
実施されています。
2018年現在、約90か所の医療施設で
新型 出生前診断を受けられます。

新型 出生前診断を受けられる対象は、下記の
いずれかの条件を満たす必要があります。

●出産予定日の年齢が35歳以上の妊婦
●以前の妊娠、出産で胎児が13トリソミー、
18トリソミー、21トリソミーであったことが
確認されている。
●胎児が、13トリソミー、18トリソミー、
21トリソミーのいずれかに罹患している可能性を
医師から指摘されている

検査料は、各医療機関によっても異なりますが
多くの医療機関で
検査前カウンセリング:10,800円
血液検査:20万円
程度となり、新型 出生前診断の総額は
20万円~21万円程度が相場になります。

また、妊娠10~18週の間しか検査ができない為
検査を検討しているカップルは、早めに
予約されることをおすすめします。

■出産、入院費用

出産スタイルも選べる時代。
豪華ホテルのようなサービスの質の高い病院で
出産するとその分、出産費用は割高になります。

通常、健康保険から出産育児一時金が42万円
支給されますが、それでは出産費用が足りなかった
という人が76%もいるのことです。
(たまひよ調べ)

国民健康保険中央会の平成28年度
「出産費用の都道府県別平均値、中央値」に
よりますと、東京都の出産費用の平均値は
621,814円。
より実態に近い中央値は586,000円ですので
42万円の出産育児一時金が支給されても
やはり、16~17万円程度の自己負担は
かかるようです。

加入している健康保険組合によっては、
42万円の出産育児一時金に加えて、付加給付が
受けられる可能性もありますので、詳細は
健康保険組合でご確認ください。

■マタニティ&ベビー用品費用

妊娠すると、マタニティ用の肌着やケア用品、
お子様が産まれると、哺乳瓶や抱っこ紐等
必要な物が色々と出てきます。

マタニティ&ベビー用品費用は平均13万円程度で
6万円~10万円かかったという人が最も多い
との事です。
(たまひよ調べ)

ベビー用品は、短期間しか使わない物も多いので
メルカリやリサイクルショップ等を上手に活用して
賢く揃えたいですね。
<出産費用の総額はいくら?>
それでは、妊娠から出産するまでの
費用総額はいくらかかるのでしょうか?

上記の平均額を用いて、妊娠から出産までの
費用総額をシミュレーションしてみました。

妊婦健診:自己負担額5万7604円
出産・入院費用:621,814円
マタニティ&ベビー用品費用:13万円
出産育児一時金:+42万円

つまり、妊婦健診+出産・入院費用+
マタニティ&ベビー用品費用の総額は
809,418円となります。
そこから、出産育児一時金の支給額42万円を
差し引くと、自己負担総額は389,418円と
なります。

また、新型 出生前診断(NIPT)を受ける
場合は、さらに約21万円の自己負担額が
必要になります。

原則、妊娠・出産費用には、健康保険の
適用はありませんが、医療費控除は申告できますので
出産後は赤ちゃんのお世話で忙しいかと思いますが
忘れずに確定申告を行いましょう。

(文:山崎美紗)