近年地震や、台風、大雨などの自然災害が増えたことで、防災に関心を持つ人も増えているようです。しかし、自分は大丈夫だと防災についてあまり考えていない人も見受けられます。災害はいつ、どんなときに、誰の身に起こるかわかりません。人ごとだと思わずに、防災の日をきっかけに我が家の防災対策みなおしてみましょう。とくに火災保険は何年も前に加入したきり見直しをしていないという場合もありますのでこれを機会に補償内容を確認しておきましょう。

■ 防災の日とは

9月1日を防災の日といい、この日を含む1週間を防災週間といいます。2018
年は8月30日から9月5日までとなっています。もともと9月1日が防災の日となったのは、1923年9月1日に発生した「関東大震災」にちなんだものですが、8月9月は台風が上陸することも多いので「防災への備え」を忘れないように1960年にこの日に定められました。毎年この期間に防災知識の普及や、防災訓練など様々な行事がおこなわれます。家庭でも防災グッズの点検や準備、また災害のときの避難場所など話しあって防災に対する意識を高めて行きましょう。またこの機会に災害に対する備えのひとつ、火災保険についても確認しましょう。

■ もしも被害にあったとき自分と家族を守る火災保険

災害にあったときに自分や家族を守るものとして火災保険があります。火災保険は火災のほかにも、落雷や風による被害、ひょうによる被害、雪による被害、そのほかにも水による被害など、さまざまな災害にあったときに被害にあったもものを補償してくれます。しかし、加入するときに災害を想定しているわけではないので、補償の内容まできちんと確認している人はそれほど多くはないと思います。しかし一度災害に遭ってしまうと、もとの生活を取り戻すためには時間もお金もかかってしまします。時間がかかってしまうことは仕方のないことですが、金銭的に支えてくれるものがあるのはとても心強いことです。ところが、加入している火災保険の補償内容によっては、その災害は対象外となってしまうことがあります。自分の家はどんなとき補償されるのか、防災の日をきっかけに見直してみてはいかがでしょうか。

■ 知らないとあとで驚く自己負担額

火災保険の補償をみなおすのであれば、必ず確認して欲しいことが2つあります。1つは「風災・ひょう災・雪災」です。台風による大風や、ひょうが降ってきたこと、また大雪によって受けた被害を補償するのですが、見落としがちなのが自己負担金額です。自己負担金額とは、被害を被った合計金額のうち、自分で負担する金額のことで、この補償の場合は20万円となります。つまり、被害額が20万円以上でないと補償されないということなのです。このことを知らずにいると、被害に遭ったときに補償してもらえないということになりかねません。しかし保険会社によっては、この自己負担額を無しにできる火災保険もあります。ですが、自己負担ありの場合と比べて保険料は高くなります。この機会に加入している火災保険の自己負担額を確認してみましょう。

■支払い要件が複雑な水災の補償

2つ目は「水災」です。水災は水による被害を補償するものですが、川の氾濫による洪水や土砂崩れなどが該当します。自宅近くに川や山がないからといって水の被害はないと思いがちですが、近年記録的な大雨により下水機能が限界をこえて、住宅地でも床下浸水や床上浸水が起こっています。そういったことも考えられるのであれば水災の補償も検討しておくといいでしょう。
一般的に損害保険は被害金額を補償してくれますが、水災の補償は少し違う場合もあります。基準となるのは再調達価額で、被害にあった時点で同じ構造、質、用途、規模など再築または再取得するために必要な金額をいいます。この再調達価額被害の割合によって支払われる保険金額が変わります。例えば、再調達価額の15%未満の被害だと、保険金額の5%しか支払われないこともあります。自己負担金額を選ぶことができ、「自己負担額を無し」と選択できるほけんがいしゃもあります。

誰でも何事もなく今の生活が続くと思っていますが、自然災害などはいつ起こるか誰にもわかりません。毎年防災の日をきっかけに防災グッズの点検や、非常食の入れ替えなどと一緒に、自分の生活を守るための火災保険も確認してみましょう。

執筆担当FP:黒須かおり(日本FP協会 認定CFP)