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医療費控除について

入院や歯の治療、通院などの医療費って年間一人当たりどのぐらいかかっているかご存じですか?

厚生労働省が発表している平成30年度国民医療費によると、一年あたり一人平均 34 万 3,200 円となっています。この金額は、保険診療の対象となる傷病の治療に要した費用ですので、保険の適用がない妊娠・出産や歯列矯正などは含まれない金額となっています。

結構、いい金額を使っていると思いませんか?

そこで覚えておきたいのが医療費控除です。
その医療費控除について詳しく見ていきましょう。

◆医療費控除とは?

医療費控除とは、一年間に本人や生計を一にする家族のために医療費を支払った場合、その支払った金額が一定額を超えるとき受けられる所得控除のことです。

「10万円以上使うと戻ってくる」と覚えていらっしゃる方も多いかと思いますが、実際には10万円を超えた部分が全額戻ってくるのではなく、税金を計算しなおすことによって還付を受けられるシステムになっています。

では、いったいどのようなものが医療費と認められるのでしょうか?

◆医療費控除の対象になる?ならない?

医療費控除の対象になる医療費か否かは、「治療を目的とした医療費」「予防を目的とした医療費」かどうかによって判断されます。

【医療費控除の対象となるもの】

 治療を目的とした医療行為に対して支払った費用は控除の対象となります。

 ・病院での診療・治療・入院費
 ・医師の処方箋をもとに購入した医薬品の費用
 ・治療に必要な松葉杖など、医療器具の購入費用
 ・通院に必要な交通費
 ・歯の治療費(保険適用外の費用を含む)
 ・子供の歯列矯正費用
 ・治療のためのリハビリ・マッサージ、はり、お灸
 ・介護保険の対象となる介護費用
 ・薬局で買った市販の風邪薬
 ・妊娠中の定期健診、検査費用
 ・出産などによる入院のための費用、不妊治療・人工授精費用
 ・おむつ代(一定の条件有。その証明書が必要)
 ・助産師による分べん介助に関する費用
 ・骨髄移植・臓器移植のあっせんに係る患者負担
 ・海外旅行先で外国の医師に支払った費用    など

通院や入院をするための交通費のうち、バスや電車などの公共交通機関を使用したものについては医療費控除の対象となりますが、タクシーの利用は、急を要している場合や電車やバスなどの公共交通機関の利用ができない場合のみに限られています。
なお、マイカーで通院した際のガソリン代や駐車場代は含まれませんので注意が必要です。
特に出産の場合、実家で出産する場合の帰省費用は医療費控除の対象となりませんが、出産で入院するときにタクシーを利用した場合は、出産という緊急時利用ということで例外的に認められています。

産後1ヶ月健診や助産師等による母乳指導等、産後療養中のお世話にかかる費用は医療費控除の対象となりますが、子供の世話や家事を依頼したときの謝礼に関しては対象外となります。

視力回復レーザー手術(レーシック手術)やオルソケラトロジー治療(角膜矯正療法)に関しても視力を回復させる治療という観点から、医療費控除の対象となります。

歯列矯正は「噛み合わせが悪く機能的な問題により矯正治療が必要」と歯科医師が判断したときに医療費控除の対象となりますが、美容や見た目をよくするための矯正は医療費控除の対象になりませんのでご注意ください。

矯正は歯や顎の正しい成長のために必要だと考えられているため、一般的には中学生ぐらいまでを子供の矯正として扱われることが多くなっています。また、大人の歯列矯正は、咀嚼や発音に悪影響を及ぼしているため「矯正治療が必要」と歯科医師が判断し、診断書がもらえるときのみ医療費控除の対象となります。
いずれにしても最終的には税務署の判断に委ねられていますので、確認したほうがいいでしょう。

医療費控除は、1年間の医療費が対象になりますので、病院・歯医者に行ったときはもちろんのこと、薬局で薬を買ったときなどのレシートや領収書は必ず取っておくようにし、交通費をいつ使ったか忘れないようメモを取っておきましょう。

【医療費控除の対象にならないもの】

 予防を目的とした医療費は、基本的には控除の対象にはなりません。

 ・人間ドックなど健康診断の費用
 ・インフルエンザ予防接種などの予防注射の費用
 ・美容整形の治療費用
 ・美容目的の歯列矯正
 ・健康増進のための漢方薬やビタミン剤やサプリメントの費用
 ・疲れを癒したり、リラックスするためのマッサージ、エステ
 ・マイカー通院のガソリン代や駐車料金
 ・里帰り出産のための実家への交通費
 ・自分の都合で利用した差額ベッド代
 ・入院時に購入したパジャマや身の回りのもの
 ・感染予防のために購入した消毒液やマスク     など

人間ドッグなどの健康診断の費用は、原則医療費控除の対象とはなりませんが、その健康診断で病気が見つかって治療することになった…という場合には、人間ドッグなどの費用も医療費控除の対象となります。
また、PCR検査費用についても同様で、単に陰性を証明することを目的とした検査は医療費控除の対象となりませんが、検査の結果、陽性と判定され治療を行った場合は、医療費控除の対象となります。もちろん、医師の判断によりPCR検査を受けた場合は医療費控除の対象です。

その目的次第で医療費控除の対象と対象にならないものがあります。判断がつきにくいものに関しては、お近くの税務署に問い合わせください。

次に、医療費控除はどのように計算するのかを見てみましょう。

◆医療費控除ってどうやって計算するの?

医療費控除を計算するときには、下記の計算式を用います。

【医療費控除額(上限200万円)】

 ・総所得金額等200万円未満

  (医療費控除の対象になる医療費-保険金などで補填された金額)-(総所得金額等×5%)

 ・総所得金額等200万円以上

  (医療費控除の対象になる医療費-保険金などで補填された金額)-10万円

支払った医療費の中には、健康保険からや生命保険からの保険金などで補填されたものもあるでしょう。
そのような補填があった場合は、その分を差し引いて考えなければなりません。
その具体的な給付金としては
  ・出産育児一時金
  ・高額療養費
  ・生命保険や損害保険の支払保険金
  ・医療費の補てんを目的とした損害賠償金
などがあげられます。
産前産後時に支給される出産手当金に関しては、生活保障の一部として支給されるものですので、ここでいう医療費の補填には該当しません。

※注意※
1月1日から12月31日までの間に、本人や生計を一にする家族のために医療費を支払った医療費が対象になりますので、年をまたいだ時には注意が必要です。
医療費控除の対象となるのは「その年に支払ったもの」に限られるため、例えば年末に入院して年明けに退院した場合、退院時にまとめて支払ったとしても、12月の医療費と1月の医療費を一本化することはできませんので、金額によっては医療費申告できる年とできない年が生じることがあります。
また、クレジットカードで決済したときは口座引落の日ではなく支払い手続きを行った日で考えます。

医療費を補填する保険金等の額が、確定申告書を提出時までに確定していない場合には、補填される保険金等の見込額で計算を行い、後日確定した際に当初の見積額と異なる場合は、修正申告等を行うことにより訂正することになります。

◆医療費控除はいつ申請するの?

医療費控除の申請は確定申告期間と同時に行いますので、確定申告期間と同様、原則2月16日~3月15日が申告期間となっています。
医療費控除をする場合は忘れずに期限内に申告書類を提出しましょう。

給与所得者などで確定申告の必要ない方が所得税の還付を受ける「還付申告」の場合は、医療費などがかかった年の翌年1月1日から5年以内であれば申告が可能となっていますので、申告忘れがないか今一度チェックしましょう。

◆医療費控除はどうやって申請するの?

【医療費控除の申請に必要な書類】

 ・医療費の支払いを証明する書類
   →医療費控除対象となるレシートや領収書、健康保険組合等から発行される「医療費通知」などを準備します。
    確定申告時の提出は不要ですが、税務署から提出を求められる場合もありますので、すぐに提示できるようしておいてください
    医療費控除対象となるレシートや領収書などは5年間の保存義務がありますので、捨ててしまうことのないよう注意しましょう。

 ・医療費控除の明細書
   →国税庁のホームページからダウンロードできます。

 ・確定申告書AまたはB
   →国税庁のホームページからダウンロードできます。

 ・源泉徴収票(給与所得者の場合)
   →確定申告書を記載するときに必要です。

 ・マイナンバーなどの本人確認書類(e-Taxでの提出は不要)

【医療費控除申請の流れ】

 ① 医療費控除に必要な書類を準備

 ② 所定の書類に必要項目を記入
   確定申告書AまたはB、医療費控除等の明細書などに記入

 ③ 必要な書類一式をお住いの住所地を所轄している税務署へ提出
   マイナンバーなどの本人確認書類も必要となってきますので、用意しておいてくださいね。

 ④ 1か月~1か月半程度で指定した口座へ還付金が振り込まれる

医療費控除には現在、期間限定で医療費控除の特例制度として「セルフメディケーション税制」という制度があります。

◆「セルフメディケーション税制」ってなあに?

2017年1月1日から2021年12月31日までの間の期間限定で、「セルフメディケーション税制」という医療費控除の特例制度が設けられています。
この制度は、軽い症状であれば自分で手当て(セルフケア)しましょう!という取り組みから設けられているものです。
「スイッチOTC医薬品」という市販薬の購入費用が年間12,000円以上の場合に受けられる所得控除で、上限が8万8000円となっています。
ただし、誰でも受けられるわけではなく、健康診断やインフルエンザの予防接種など健康に気を遣っている人が対象となっています。

スイッチOTC医薬品とは、お医者さんから処方されていたお薬と同じ成分のものが薬局で買えるようになったものをいい、風邪薬や、湿布薬、水虫の薬などが対象商品になっています。
「スイッチOTC医薬品」と聞いてもピンとこない方でも下記のマークは見たことがあるのではないでしょうか?

また対象商品にはレシートの品名の前後に、「●」「★」「セ」などのマークがしるされていますので、それでもチェックできます。

◆セルフメディケーション税制はどうやって申請するの?

【セルフメディケーション税制の申請に必要な書類】

 ・健康管理など一定の取組を行ったことを明らかにする書類
   →健康診断の結果通知書や領収書など

 ・対象のスイッチOTC医薬品の領収書、レシート
   →スイッチOTC医薬品の領収書やレシートは申請時には提出は不要ですが、5年間の保存義務があり、税務署から求められた際は提出が必要です。

 ・セルフメディケーション税制の明細書
   →国税庁のホームページからダウンロードできます。

 ・確定申告書AまたはB
   →国税庁のホームページからダウンロードできます。

 ・源泉徴収票(給与所得者の場合)
   →確定申告書を記載するときに必要です。

 ・マイナンバーなどの本人確認書類
   →e-Taxでの提出は不要

申請は医療費控除と同様、確定申告時に行いますが、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であるため、医療費控除と重複して受けることはできません。
どちらかを選ぶことになります。

医療費控除は10万円を超えないと適用されないのに対し、セルフメディケーション税制は12,000円で適用になりますが、適用となるのはスイッチOTC医薬品の購入費用のみですので、どちらを選択したほうが得か計算をしてみるとよいでしょう。

◆ふるさと納税をしている人は注意!

応援したい自治体に寄付をすると寄付金額の2,000円を超える部分について所得控除が受けられる制度として、人気のふるさと納税。
その返礼品の多様さからふるさと納税をやられている方も多いかと思います。
そのふるさと納税と医療費控除とは、一見、何の関連性もないように思われがちですが、実は注意すべき点があります。

確定申告をすると「ワンストップ特例制度」が無効になってしまうのです。
「ワンストップ特例制度」は、特に給与所得者であるサラリーマンにとってはとても便利な制度ですので使われている方も多いかと思いますが、既に「ワンストップ特例制度」の利用申請を行ってしまったとしても確定申告をすると自動的に無効になりますので、確定申告で改めて寄付金控除申請を行わなければなりません。
「思わぬ医療費がかかってしまった!」などで確定申告をすることになった場合は、お気を付けくださいね。


いかがでしたでしょうか?
医療費控除について見てきました。
一年間でどのぐらいの医療費を支払ったかすぐにわかるように、領収書やレシートは一ヶ所に保管するようにし、通院時に使用した交通費のメモもこまめにつけておくことをお勧めいたします。
医療費に該当するか、しないか、微妙なものも多々ありますので、そのような場合には必ず税務署に確認してくださいね。

2020年はコロナ禍の影響で収入の減少やマスク・消毒液などの消費量の増加、ステイホームが増えたことにより家計に大きな影響を及ぼしてきました。
その影響を少しでも軽減するためにも、うまく医療費控除などを利用し節税に努めていきましょう。

ファイナンシャルプランナー とりごえあつこ

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