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知らないと損!夫と専業主婦の遺族年金はそれぞれいくら?

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一家の大黒柱に万が一のことがあった場合、その後の生活のこと、考えたことがありますか?

縁起でもないことはなるべく考えたくないものですが、もしもの時に備えてのマネープランを今のうちから考えておくことが大切です。

死亡保障というと真っ先に生命保険のことを思い浮かべる方が多いかと思いますが、実は公的年金からも残された遺族に支給される年金があります。

今回は、その年金制度と一家の大黒柱である夫が死亡した場合、家族構成・職業ごとに受給できる年金制度についてケースごとに解説していきます。

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目次

遺族年金とは?

遺族年金とは、一家の大黒柱などが亡くなった場合、その遺族が国からもらえる公的年金の一つです。

亡くなった方の当時の職業(加入している年金制度)によって受け取れる給付が決まります。

大きく分けると以下のようになります。

自営業者等
(国民年金のみに加入している場合)
遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金のいずれか
会社員、公務員
(厚生年金保険)
遺族基礎年金、遺族厚生年金

それぞれどんな制度か見ていきましょう。

遺族基礎年金は誰がもらえるの?

遺族基礎年金は、次のいずれかに該当する人が亡くなった場合に支給されます。

受給要件

  • ① 国民年金の被保険者
  • ② 老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人

注意点

①、②の場合でも、保険料納付済期間と保険料免除期間が加入期間の3分の2以上あることが条件です。

ただし、令和8年4月1日前に死亡した場合、死亡時に65歳未満であれば、死亡日の前日において、直近の1年間の保険料を滞納がなければ支給されます。

支給対象者(年金を受け取れる人)

死亡した人によって生計を維持されていた

  • (1)子のある配偶者 (※1)
  • (2)子

※1 以前までは夫は遺族基礎年金の対象外でしたが、平成26年4月からは要件に満たしていれば、子のある夫も受給できるようになりました。

この場合の「子」とは下記のいずれかであることが必要です。

  • ・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子(※2)
  • ・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
  • ・婚姻していないこと

※2 受給要件を満たしている人が死亡した当時、胎児であった子も出生後には「子」として支給対象となります

遺族基礎年金はいくらもらえるの?

遺族基礎年金は基本額781,700円をベースに子供の人数によって、金額が決まります。

【年金額】(令和2年4月~)
基本額 781,700円+子の加算(人数分)
子の加算額 第1子・第2子 各224,900円/年・人
第3子以降 各75,000円/年・人

遺族基礎年金はいつまでもらえるの?

支給対象者が、下記の要件のいずれかに該当するときまで受給することができます。

該当した場合は該当した月で減額または支給終了となります。

  • 1.子が18歳の年度末に達したとき(2に該当する場合を除く)
  • 2.障害等級1級もしくは2級に該当する子が20歳になったとき(※3)
  • 3.死亡したとき
  • 4.婚姻したとき
  • 5.直系血族または直系姻族以外の養子となったとき
  • 6.離縁によって死亡した親の子でなくなったとき

※3 18歳の年度末になって受給権を失権した後、20歳になる前までに障害状態になっても遺族基礎年金の支給対象にはなりません。

次に遺族厚生年金を見ていきましょう。

遺族厚生年金は誰がもらえるの?

遺族厚生年金は次のいずれかに該当する人が亡くなった場合に支給されます。

受給要件

  • ① 厚生年金保険に加入している人(被保険者)が死亡したとき
  • ② 厚生年金保険に加入しているときの傷病が原因で初診日から5年以内に死亡したとき
  • ③ 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡したとき。
  • ④ 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡したとき。

注意

この場合でも①、②の場合、保険料納付済期間と保険料免除期間が加入期間の3分の2以上あることが条件です。

ただし、令和8年4月1日前に死亡した場合、死亡時に65歳未満であれば、死亡日の前日において、直近の1年間の保険料を滞納がなければ支給されます。

支給対象者(年金を受け取れる人)

死亡した者によって生計を維持されていた人が支給対象者とはなりますが、全員がもらえるわけではなく、それぞれ優先順位がついています。

先の順位の遺族がいる場合は、その次以降の順位の遺族は受給することができないだけでなく、先の順位の遺族が死亡など受給権が消滅した場合でも転給することはありません。

優先順位別にみると…

第1順位
  • ・子のある配偶者
  •  →配偶者と記載されているので、妻でも夫でも受給可能です。
  • ・子
第2順位
  • ・子のない妻
  • ・子のない55歳以上の夫
第3順位
  • ・55歳以上の父母
第4順位
  • ・孫
第5順位
  • ・55歳以上の祖父母

遺族厚生年金はいくらもらえるの?

遺族厚生年金の受給額の目安は、老齢厚生年金の4分の3です。

金額は死亡した人の給与・賞与によって変わり、給与が高かった場合は遺族厚生年金の額も高くなります。

ちなみに、年金額は以下の計算式で算出できます。

  • {(平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数)+(平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の被保険者期間の月数)}× 3/4

毎年送られてくる「ねんきん定期便」などにも被保険者期間などは記載されていますが、詳しい金額が知りたい方は年金事務所に行って、計算してもらうことをお勧めいたします。

遺族厚生年金はいつまでもらえるの?

遺族基礎年金と違って、支給対象者によっていつまでもらえるかが違ってきます。優先順位ごとに見ていきましょう。

第1順位

  • ・子のある配偶者
    →失権事由に該当しない限り、一生涯受給可能。
  • ・子
    →18歳になって初めて迎える3月31日までの間、受給可能。障害等級が1級・2級である場合は20歳になるまでの間、受給可能。

第2順位

  • ・子のない妻
    →夫が死亡当時、30歳未満の場合は5年間のみ支給可能。
  • ・子のない55歳以上の夫
    →支給開始は60歳から。支給開始後は一生涯受給可能

第3順位

  • ・55歳以上の父母
    →支給開始は60歳から。支給開始後は一生涯受給可能。

第4順位

  • ・孫
    →18歳になって初めて迎える3月31日までの間、受給可能。障害等級が1級・2級である場合は20歳になるまでの間、受給可能。

第5順位

  • ・55歳以上の祖父母
    →支給開始は60歳から。支給開始後は一生涯受給可能。

失権事由

全ての支給対象者は、以下のいずれかに該当した場合に、遺族厚生年金の受給権が消滅します。

  • ・死亡したとき
  • ・婚姻したとき(事実上の婚姻関係を含む。)
  • ・直系血族または直系姻族以外の養子となったとき(事実上の養子縁組関係を含む)
  • ・離縁によって、死亡した被保険者または被保険者であった者との親族関係が終了したとき
  • ・父母、孫、祖父母に対する遺族厚生年金の受給権は、死亡の当時胎児であった子が出生したとき

中高齢寡婦加算という加算もあります!

遺族厚生年金を受給できる妻には、下記のいずれかに該当する場合、妻が40歳以降65歳になるまでの間、586,300円(年額)(老齢基礎年金満額の4分の3相当)が加算されます。

これを「中高齢寡婦加算」といいます。

「寡婦」という言葉が入っている通り、これは妻のみが受けられるもので、妻を亡くした夫には適用されません。

現代社会では女性も結婚・出産後もバリバリ働いている人が多いですが、昔は結婚したら家庭に入るという時代でしたので、その名残ともいえるでしょう。

受給要件

  • ① 夫が亡くなったとき(※4)、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
  • ② 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳年度末(障害の状態にある場合は20歳に達した)を過ぎたことにより、遺族基礎年金の受給権が消滅した場合、40歳以上であること。

※4  老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の場合に限ります。

遺族基礎年金・遺族厚生年金の手続き方法は?

自動的に給付されるものではありませんので、忘れずに申請・手続きをしましょう。

ただし「亡くなった日の翌日から5年以内」に手続きをしないと受給資格がなくなりますので、注意が必要です。

遺族基礎年金・遺族厚生年金ともに申請時に必要な書類は下記の通りで、基本的に同じです。

必要な書類

  • ・年金請求書
    …日本年金機構ホームページからダウンロード可能です。年金事務所や年金相談センターで受け取ることもできます。
  • ・年金手帳
  • ・戸籍謄本
  • ・住民票の写し
  • ・死亡者の住民票の除票
  • ・請求者の収入が確認できる書類
  • ・子の収入が確認できる書類
  • ・市区町村に提出した死亡診断書のコピー
  • ・受取先金融機関の通帳など
  • ・印鑑

提出先

  • 年金事務所 または 年金相談センター

※遺族基礎年金については、市区町村の役場(年金担当窓口)で行うこともできます。

他にも書類も提出を求められる場合がありますので、提出する前に年金事務所や年金相談センターで相談した方がよいでしょう。

遺族基礎年金や遺族厚生年金が受給できない人には、寡婦年金死亡一時金という制度もあります。

寡婦年金とは?

国民年金の第1号被保険者の独自の給付制度です。

遺族基礎年金が受給できない場合でも保険料が掛け捨てにならないように制定されているのが、寡婦年金です。

寡婦年金も中高齢寡婦加算同様、「寡婦」という言葉が入っている通り、妻だけに適用される制度です。

この寡婦年金にもいろいろな要件があります。

受給要件

  • ① 国民年金の第1号被保険者(※5)として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていること
  • ② 老齢基礎年金を受給したことや障害基礎年金の受給権を有したことが無いこと

※5 厚生年金保険に加入すると同時に国民年金にも加入していることになりますが、これは国民年金第2号被保険者に該当していることになりますので、寡婦年金の支給要件である期間にはカウントできません。

支給対象者(年金を受け取れる人)

  • (1)夫の死亡当時、65歳未満
  • (2)老齢基礎年金の繰り上げをしていないこと。
  • (3)夫の死亡後、5年以内に請求
  • (4)夫との生計維持関係があり、年収が850万円未満
  • (5)婚姻期間が10年以上(事実婚も含む)

支給額

  • 夫が受けられたであろう老齢基礎年金額(第1号被保険者期間にかかわる額に限る)の4分の3

必要な書類

  • ・年金請求書
  • ・年金手帳
  • ・戸籍謄本(記載事項証明書)
  • ・世帯全員の住民票の写し
  • ・死亡者の住民票の除票
  • ・請求者の収入が確認できる書類
  • ・受取先金融機関の通帳等(本人名義)
  • ・年金証書
  • ・印鑑(認印可)

提出先

  • 住所地の市区町村役場の窓口

年金事務所や年金相談センターでも手続きできます。

死亡一時金という給付金もあります!

死亡一時金も、寡婦年金同様、国民年金の第1号被保険者の独自の給付制度となっています。

死亡一時金は、国民年金第1号被保険者としての保険料納付済期間が3年以上ある者が死亡した場合に遺族に支給されます。

これにも下記のような受給要件があるのです。

受給要件

  • ① 死亡した人が国民年金第1号被保険者として36か月以上保険料を納めていること
  • ② 遺族基礎年金、寡婦年金どちらの支給条件も満たしていないこと
  • ③ 老齢基礎年金や障害基礎年金も受け取っていないこと
  • ④ 死亡した人と生計を同じくしていたこと
  • ⑤ 死亡日から2年以内に請求をしたこと

この死亡一時金は、これまでの年金給付のように年齢制限などがないのが特徴ですが、これにも支給対象者には優先順位が設けられています。

支給対象者(一時金を受け取れる人)

  • ・第1順位:配偶者
  • ・第2順位:子
  • ・第3順位:父母
  • ・第4順位:孫
  • ・第5順位:祖父母
  • ・第6順位:兄弟姉妹

死亡一時金に関しては、今までの年金と違って兄弟姉妹も受け取れるのが特徴的です。

これは国民年金を納付していたにも関わらず、遺族基礎年金や寡婦年金に該当しない人たちが納付していた保険料を掛け捨てにしないための救済措置という位置づけになっています。

支給額

保険料納付期間によって金額が変わってきます。

  • ・36月以上180月未満  → 120,000円
  • ・180月以上240月未満 → 145,000円
  • ・240月以上300月未満 → 170,000円
  • ・300月以上360月未満 → 220,000円
  • ・360月以上420月未満 → 270,000円
  • ・420月以上       → 320,000円

必要な書類

  • ・亡くなった方の年金手帳
  • ・戸籍謄本(記載事項証明書)
  • ・亡くなられた方の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票の写し
  • ・受取先金融機関の通帳等(受け取られる人の名義のもの)
  • ・印鑑

提出先

  • 住所地の市区町村役場の窓口

年金事務所や年金相談センターでも手続きできます。

遺族年金がどのようなものか分かったところで、実際のところ自分はどうなのか気になるところではないでしょうか。

一家の大黒柱であり稼ぎ手の夫が死亡した時、専業主婦の妻にはどのような年金が支給されるのか、年齢別、職業別などいろいろなケースで見ていきましょう。

※以下のケースでは保険料納付要件などすべて支給要件に満たしていることを前提としています。

CASE① 子供がいる若い夫婦の場合

A家

31歳で死亡。会社員。入社当時より厚生年金保険に加入。在職中に死亡。
28歳。専業主婦。現在、第2子目を妊娠中。
子供3歳。

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・子供が18歳以下
  • ・2人目を妊娠中

【遺族基礎年金】+【遺族厚生年金】が支給されます。

支給額

・遺族基礎年金
  • 【第2子が出産するまで】
  • 781,700円+224,900円(第1子加算)=1,006,600円/円
  • 【第2子出産後】
  • 781,700円+224,900円(第1子加算)+224,900円(第2子加算)=1,231,500円/円

夫の死亡当時、胎児であった子も出生以降は対象となるため、第2子出産後は第2子分が加算されます。

なお、第2子が18歳の3月31日まで遺族基礎年金は支給されますが、第1子が18歳になった時点で子の加算は一人分となり、第2子が18歳の3月31日になると、遺族基礎年金の受給権は消滅します。

・遺族厚生年金
  • 老齢厚生年金の4分の3相当分

金額は被保険者である故人の給与・賞与によって変わり、故人の給与が高かった場合は遺族厚生年金の額も高くなります。

※第2子が18歳になるときに妻はすでに40歳を超えていますので、第2子が18歳になり、遺族基礎年金受給権が消滅した後65歳になるまでのあいだは中高齢寡婦加算として586,300円が追加支給されます。

仮に死亡した夫の職業が自営業の時はどうなるでしょうか?

B家

31歳で死亡。自営業。20歳より国民年金に加入。4年前に結婚。
28歳。専業主婦。現在、第2子目を妊娠中。
子供3歳。

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・婚姻期間4年。
  • ・子供が18歳以下
  • ・2人目を妊娠中

→ 【遺族基礎年金】が支給されます。金額は夫が会社員である場合と一緒です。

A家とB家の違い

会社員と自営業との違いだけで、年金額に大きな違いが出ていることがわかります。

子供が18歳になった時で遺族基礎年金の支給は終了するのは両家とも同じですが、A家の妻はその時に40歳を過ぎていることから、中高生寡婦加算が加算されます。

一方、B家は、夫の死亡時までの婚姻期間が10年以上ないため、寡婦年金の受給権も発生しません。

夫の職業でこんなにももらえる金額に差が出てくることに驚いた方もいることでしょう。

では、同じ若い夫婦でも子供がいない場合はどうでしょうか?

CASE② 子供のいない若い夫婦の場合

C家

31歳で死亡。会社員。入社当時より厚生年金保険に加入。在職中に死亡。
28歳。専業主婦。

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・子供なし

→ 【遺族厚生年金】のみが支給されます。

・遺族厚生年金

老齢厚生年金の4分の3相当分

子供がいないのと、遺族基礎年金の要件を満たさないため遺族厚生年金のみの支給となります。

しかも、夫の死亡当時、妻は30歳未満であったため5年間の有期年金となります。

仮に死亡した夫の職業が自営業の時はどうなるでしょうか?

D家

31歳で死亡。自営業。20歳より国民年金に加入。4年前に結婚。
28歳。専業主婦。

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・婚姻期間4年
  • ・子供なし

→ 遺族厚生年金、遺族基礎年金ともに支給されず、【死亡一時金】のみが支給されます。

・死亡一時金
  • 20歳から死亡までの11年間(132月)として  → 120,000円

厚生年金保険に加入していないことや子供がいないことなどから、遺族基礎年金や遺族厚生年金の要件を満たさないため受給することができません。

しかも、夫の死亡当時、婚姻期間が10年に達しておらず寡婦年金の受給権も得ることができないため死亡一時金のみの受給となります。

C家とD家の違い

子供がいない夫婦でも、死亡した夫の職業の違いだけで、もらえる年金制度が大きく違うことがわかります。

夫の死亡当時30歳未満で子供もいなければ、その後の生活の再建がしやすいであろうという背景から遺族厚生年金も5年の有期年金となっています。

では、もう少し年齢が上の子供を持っている夫婦の場合で見てみましょう。

CASE③ 18歳に満たない子供がいる夫婦の場合

E家

53歳。会社員。入社当時より厚生年金保険に加入。在職中に死亡。
50歳。専業主婦。
子供15歳

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・子供が18歳以下

→ 【遺族基礎年金】+【遺族厚生年金】+【中高齢寡婦加算】 が支給されます。

支給額

・遺族基礎年金
  • 781,700円+224,900円(第1子加算)=1,006,600円/円
・遺族厚生年金
  • 老齢厚生年金の4分の3相当分

金額は被保険者である故人の給与・賞与によって変わり、故人の給与が高かった場合は遺族厚生年金の額も高くなります。

※妻はすでに40歳を超えていますので、遺族基礎年金受給権が消滅した後65歳になるまでのあいだは中高齢寡婦加算として586,300円が加算されます。

仮に死亡した夫の職業が自営業の時はどうなるでしょうか?

F家

53歳で死亡。自営業。20歳より国民年金に加入。25年前に結婚
50歳。専業主婦。
子供15歳

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・婚姻期間25年
  • ・子供が18歳以下

→ 【遺族基礎年金】+【寡婦年金】 が支給されます。

支給額

・遺族基礎年金
  • 781,700円+224,900円(第1子加算)=1,006,600円/円
・寡婦年金
  • 夫が受けられたであろう老齢基礎年金額(第1号被保険者期間に係る額に限る)の4分の3

※ただし、受給は60歳になってから65歳まで。

E家とF家の違い

特にF家の場合、夫の死亡当時、婚姻期間が25年であるため寡婦年金も受給することができますが、受給開始は妻が60歳からですので、遺族基礎年金受給権消滅後、寡婦年金支給までの期間は何も支給されないことになります。

次に、子供が18歳を超えていたらどうなるでしょうか?それぞれ見ていきましょう。

CASE④ 18歳を過ぎた子供がいる夫婦の場合

G家

53歳で死亡。会社員。入社当時より厚生年金保険に加入。在職中に死亡。
50歳。専業主婦。
子供21歳

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・子供が18歳を超えている

→ 【遺族厚生年金】+【中高齢寡婦加算】 が支給されます。

・遺族厚生年金
  • 老齢厚生年金の4分の3相当分

金額は被保険者である故人の給与・賞与によって変わり、故人の給与が高かった場合は遺族厚生年金の額も高くなります。

※妻はすでに40歳を超えていますので、遺族基礎年金受給権が消滅した後65歳になるまでのあいだは中高齢寡婦加算として586,300円が加算されます。

仮に死亡した夫の職業が自営業の時はどうなるでしょうか?

H家

53歳で死亡。自営業。20歳より国民年金に加入。25年前に結婚
50歳。専業主婦。
子供21歳

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・婚姻期間25年
  • ・子供が18歳を超えている

→ 【寡婦年金】もしくは【死亡一時金】のどちらか が支給されます。

・寡婦年金を選択した場合
  • 夫が受けられたであろう老齢基礎年金額(第1号被保険者期間に係る額に限る)の4分の3

※ただし、受給は60歳になってから65歳まで。

・死亡一時金を選択した場合
  • 20歳から死亡までの33年間(396月)として  → 270,000円

年金ではなく、一時金で支給されます。

夫の死亡当時、婚姻期間が25年ありますので、60歳から65歳までは寡婦年金の受給することができますが、同時に死亡一時金の受給権も発生します。

ただし、併給はできませんので、金額の大きいほうを取ったほうが良いでしょう。

トータル的な金額を見ると、一般的に寡婦年金の方が金額が大きくなる傾向があります。

G家とH家の違い

G家の妻は遺族厚生年金を失権事由に該当しない限り一生涯受給できますが、H家の妻は死亡一時金もしくは寡婦年金との選択となります。

寡婦年金を選択した場合は、60歳から支給開始となりますので、夫が死亡してから受給開始までの約10年間は何も支給されません。

最後に夫婦ともに年金を受給しているケースを見ていきましょう。

CASE⑤ 夫婦ともに年金を受給中の場合

I家

66歳で死亡。会社員。入社当時より厚生年金保険に加入。65歳以降も勤務。在職中に死亡。老齢年金を受給中
66歳。専業主婦。20歳より国民年金加入。65歳より老齢年金を受給中。

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・子供なし
  • ・夫婦ともに年金を受給している

→ 【遺族厚生年金】+【妻の老齢基礎年金】 が支給されます。

・遺族厚生年金
  • 老齢厚生年金の4分の3相当分

金額は被保険者である故人の給与・賞与によって変わり、故人の給与が高かった場合は遺族厚生年金の額も高くなります。

在職中に死亡したことにより、遺族厚生年金の受給が可能性ですが、65歳から妻自身の年金である老齢基礎年金を受給していますので中高齢寡婦加算はありません。

・老齢基礎年金
  • 781,700円(令和2年価格)

20歳から60歳までの40年間、国民年金に加入してきたことにより満額支給。

仮に死亡した夫の職業が自営業の時はどうなるでしょうか?

J家

66歳で死亡。自営業。20歳より国民年金に加入。65歳より老齢年金を受給中
66歳。専業主婦。65歳より老齢年金を受給中

この場合は…

  • ・夫との生計維持関係あり
  • ・子供なし
  • ・夫婦ともに年金を受給している

→ 支給なし

夫が死亡時、妻は65歳以上であるため、寡婦年金の要件から外れています。

また、死亡した夫は老齢基礎年金を受給しているため、死亡一時金の支給要件からも外れます。よって、この妻には何も支給されません。

I家とJ家の違い

I家のように年金を受給中でも、会社員(厚生年金加入中)である場合には遺族厚生年金を妻は受けることができますが、J家の妻には何も支給されません。

死亡一時金は老齢基礎年金をもらわずに死亡した人に対しての掛け捨て防止の意味合いを含んでますので、すでにいくらか老齢基礎年金をもらった人には権利が発生しません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一家の大黒柱である夫が死亡した時、専業主婦である妻がどのような遺族年金をもらうことができるのか、いろいろなケースで見てきました。

家族の年齢や仕事によってももらえる年金はさまざまです。

加入している年金制度の違いでもらえる遺族年金の種類や金額がかなり違うことに驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

自分がどのケースに当てはまるかを考え、将来的に困ることのないよう、今のうちから是非マネープランを考えてみてください。

次回は、共働きの夫婦の場合はどうなるかを検証していきます。

ファイナンシャルプランナー とりごえあつこ

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